第176章 一目惚れ

橋本燃は温井時雄の優しい動作の中で、以前高橋俊年が毎回彼女の髪を乾かしてくれたときのように、座ったまま全身の力が抜けて眠りについた。

時雄はドライヤーのスイッチを切り、燃を快適な寝姿勢に調整し、彼女の純粋で無垢な静かな寝顔を見つめながら、瞳の色がどんどん深くなっていった。

人々に畏敬の念を抱かせる世界トップクラスの神醫ジョイはお前だ。

人々を恐れさせる鬼谷閣の花仮面の暗殺者・花村燎もお前だ。

北虹国の映画界をほぼ独占している飛炎年華の裏の社長もお前だ。

百年続く富豪の家を一夜で破産させたハッカーの女王様・四点火もまたお前だ。

燃よ燃、お前のその小さな体の中に、一体どれだけの恐ろしい秘密が隠されているのだろうか?

ハッカーの女王様・四点火、「燃」の字は火へんに四つの点、だから四点火と名付けられた。

実は松本晴子と伊藤千恵たち四人が彼女を陥れて寶石を盗んだと言った時、彼女が閉じられていた監視カメラを修復して自分の潔白を証明した。

その時、彼は弟の温井時潤が崇拝してやまない、ハッカー界で名高い四点火が彼女だと気づくべきだった。

……

翌日、燃は午後5時まで寝続け、やっと起床した。洗顔と身支度を整えて寝室から出てきた燃を見て、ソファに座っていた三人の男性たちは再び彼女の美しさに驚かされた。

ただ今日の三人は心の準備ができていたので、表情は昨日ほど大げさではなかった。

今日の燃は仙女のように風に舞う白い漢服を着て、精巧な古代風のアップヘアに美しく優雅な簪と揺れる飾りを挿し、眉間には赤い朱砂を点し、唇は赤く歯は白く、非凡な気品を漂わせ、まるで仙女が天から降りてきたかのように、人の心を驚かせるほど美しかった。

小林勝は昨日のメイド服とは別人のように見える、目が離せない燃を見つめ、手に持っていたダーツを床に落としてしまった。

「燃、やっぱり僕たちも後ろからこっそりついていこうよ。君の計画の邪魔はしないから」山田睿は目の前の驚くほど美しい燃を見て、少し心配そうに言った。

同じ部屋の戦友として、彼らは燃が危険に身をさらすのを見過ごして、自分たちはホテルで何も知らないふりをしているわけにはいかなかった。

「そうだよ、燃、これじゃあ危険すぎる」勝は燃を見回した。