第177章 橋本燃が消えた

三日目の夜はすぐに約束通りやってきて、橋本燃は再び華麗な姿で現れ、観客たちから悲鳴のような歓声が上がった。

今日はユダ国中が注目する、年に一度の万人音楽祭だ!

ユダ国の多くの人気スターが無料で心を込めて歌を披露する日。

この日になると、広々とした音楽祭の大舞台の外には、自然と十数万人が集まり、一晩中音楽の狂宴を楽しむ。

各出演者には10分間の持ち時間があり、10時10分は音楽祭全体のゴールデンタイムと称されている。

この時間帯に出演するスターは、巨額の資金を投じて一人のスターを売り出すよりも宣伝効果が高いとされている。

毎年ネット上では投票が行われ、ネットユーザーはどのスターがこの時間帯に登場するかを予想する。

ゴールデンタイムの10時10分に登場したのが橋本燃だと知ったとき、会場の観客もスマホで生中継を見ている視聴者も、みな驚きのあまり口をポカンと開けた。

しかし驚きの後、彼らは次々と燃の絶世の美貌に見惚れ始めた。

円形の白熱光のスポットライトの中、燃は精巧なチャイナドレスを身にまとい、完璧なメイクと鮮やかな赤い唇で、一歩一歩蓮の花を咲かせるように舞台中央に置かれた琵琶の前まで歩いていった。

優雅な動きでアンティークの椅子に座り、琵琶を抱えると、澄んだ低音の音色が琵琶から奏でられた。

——教訓を得て、書経の導きを受け

——今や見通し、もはや自らを縛らない

相変わらず北虹国の国民に広く歌われている古典的な名曲『沈黙は金』だ。

歌声が響き渡ると、燃の背後に数人の少年が現れた。

スーツを着た数人の少年が、ボロを着た一人の少年をいじめ、殴っている。

少年が絶望的な表情を浮かべた瞬間、燃と同じチャイナドレスを着た少女がアンティークな馬車から降りてきた。

手に持った銃を空に向けて一発撃ち、いじめっ子の少年たちを追い払った。

このとき、燃は歌うのをやめ、ただ音楽を奏でるだけになり、少女の澄んだ声が響いた。

「歌を一曲歌ってあげるね?」

傷だらけの顔の少年は涙ながらに頷き、少女の美しい歌声が響き渡った。

それはまさに燃が以前歌った『笑って風雲を見る』だった。

「あなたが十分に勇敢なら、きっと自分だけの世界を切り開けるわ」

少女と少年が去ると、場面は素早く梅林に切り替わった。