第170章 十年前と十年後の心境

窓の外の果てしない空を見つめながら、温井時雄の墨のように黒い瞳に一筋の痛みが走った。

十年前、橋本燃姉弟を救った一ヶ月後、こんな漆黒の夜に、彼は多くの兵士たちとユダ国へ向かう飛行機に乗った。

十年後、彼は再び多くの兵士たちと共にユダ国へ向かう飛行機に乗っている。

しかし今回は、かつて井戸の底から救い出した少女が彼の隣にいた。

十年の歳月を経て、あの顔中汚れ、極度に衰弱していながらも、自分より二倍も重い弟をしっかりと掴んでいた少女は。

世界的な神醫となり、殺し屋の世界で恐れられる鬼面の花という殺し屋になっていた。

彼女は一体何を経験してきたのか?

どうしてこれほどまでに大きく成長し、変わることができたのか?

眠りに落ちた橋本燃は、狭い座席で居心地悪く感じ、目隠しも不快だった。

彼女はアイマスクを外し、うつらうつらしながら快適な姿勢を探し始めた。

小さな手が時雄の腕に触れると、それが温かい抱き枕のように感じられ、彼女は時雄の肩に頭を預け、安心して眠りについた。

子供のように無防備に眠る燃の寝顔を見て、時雄は心臓が春の水に包まれたように、思わず柔らかくなるのを感じた。

十年前、彼は飛行機がもっと速く、もっともっと速く飛ぶことを願っていた。

早くユダ国に着いて麻薬密売人たちを捕まえ、毒捜界に平和を取り戻したかった。

しかし十年後の今、彼は利己的にも飛行機がもっとゆっくりと、もっともっとゆっくりと飛ぶことを願っていた。

なぜなら、彼らを待ち受けているのは恐ろしい歴史の繰り返しかもしれないと恐れていたからだ。

死を前にした恐怖からか、時雄の脳裏には燃との結婚生活を送った三年間が浮かんできた。

二人の付き合いの中で、彼はいつの間にか彼女を好きになっていた。

ただ、松本晴子に対する責任感から、自分の心と向き合う勇気がなく、心にもないことを言って燃に冷たく接していた。

燃が傷ついた表情を見るたびに、実は彼自身も苦しんでいた。

彼はずっと理解できなかった。燃は結婚の主導権を握っていたのに、なぜ彼の悪い態度を受け入れ、自分から離婚を切り出さなかったのか。

二人が二度目に一緒になったあの夜、彼女が気を失う前に言った言葉を聞くまでは。

そのとき彼はようやく理解した。