第294章 さあ、面白い見物に行こう

高橋智樹と吉田蘭子が寺院で高橋元凱の葬儀の吉日を求めた時、院長は元凱が兄と同じ日に事故に遭ったこと、二人の兄弟愛が天地を動かすほど深いことを告げた。

もし高橋博樹が目覚めて弟の最後の姿を見ることができなければ、博樹に一生最大の後悔を残すことになる。

博樹が百年後、その恨みを彼らに向けるだろう。博樹は生前高い地位と権力を持ち、死後も魂の英雄となる。その怨念は智樹には耐えられず、智樹の家族にまで災いが及ぶだろう。

常にこういった話を信じる蘭子はこれを聞くと、すぐに埋葬を延期し、博樹が目覚めて義父の最後の姿を見た後に埋葬すると言った。

この知らせを聞いた小林玲子は、すぐに遺体を処分できないことに腹を立てたが、あまり干渉することもできなかった。

彼女は十分完璧に計画したと思っており、元凱という死人一人で失敗することはないと考え、もはや元凱に注意を払わなくなった。

橋本燃は朝起きた後、いつものように病院に行き、院長や数人の腕利きの医師たちと祖父の「診察」をし、祖母たちに祖父の容態は安定しており、明日には目覚めるだろうと伝えた。

その後、祖母と一緒に高橋家に戻り、夕食を共にし、しばらく話した後に帰った。

高橋家を出た後、燃はホテルに戻らず、車で病院へ向かった。

今夜、面白い出来事が起こるはずだった。

燃は車の中で待ちながらゲームをしていた。

昨日田中黙の話を聞いて、彼の戦略をゲームに応用したところ、驚くことに半時間で三レベルも上がった。

これに燃の心は沸騰するほど興奮した。

86レベルに上がってからは、基本的に一ヶ月頑張ってようやく一レベル上がるほどだった。

今、半時間で三レベル上がったのだから、嬉しくないはずがない。

燃が90レベルクリアに向けて夢中になっているとき、車の窓をノックする音がした。

燃が顔を上げると、黙が全身黒い服を着て、黒い帽子をかぶり、まるで彼女と対峙する特殊工作員のように神秘的な様子で立っていた。

「消え...」窓越しに、燃は口の形だけで一言言った。

黙は燃に悪魔的な笑みを浮かべ、冷たく光るガラスカッターを窓に向け、ドアを開けないなら窓を切り裂いて入るぞという構えを見せた。

燃は黙を恨めしそうに睨みつけ、不本意ながらロック解除ボタンを押した。

黙は燃に得意げな魅力的な笑顔を見せ、助手席のドアを開けて座った。