第355章 気づいた恋心は隠せない、それは骨の髄まで染みているから

彼の自責の声を聞いて、橋本燃の心は柔らかくなった。

実際、彼女もこれは人間として当然のことだと思っていた。そこまで気にする必要はないのだ。

彼が彼女を喜ばせ、心身ともに快適にしようとする努力を、彼女は感じ取っていた。

燃は布団をめくり、体を回して田中黙を抱きしめ、彼の唇に軽くキスをした後、頭を彼の胸に埋めた。

「私...私...気持ちよかったわ。私が手伝おうか...」

「いいよ、自分で処理するから」黙は優しく燃の髪を数回撫でてから、立ち上がって浴室へ向かった。

しばらくすると、浴室から水の流れる音が聞こえてきた。

さらに数分後、水の音に混じって、男性の抑えた喘ぎ声が聞こえてきた。

燃は再び布団で顔と耳を覆い、それ以上聞くのを恐れた。

心は複雑な感情に包まれていたが、最も強く感じたのは幸せと大切にされている感覚だった。

男性は下半身に支配される生き物だと言われるが、黙はそんな噂通りではなかった。

さっきは実際の関係には至らなかったが、彼はできることをすべてしてくれた。

あそこまでの状態になっても、彼は彼女の気持ちだけを考え、約束を破ることはなかった。

このことに、彼女は本当に感動した!

……

黙が浴室から出てきたとき、寝室のベッドには燃の姿がなかった。黒い瞳に一瞬の失望が過ぎると同時に、淡い諦めの微笑みが浮かんだ。

やはり世間知らずの若い女性だから、恥ずかしがりやなのは理解できる。

ただ、明日の朝には戦地へ出発し、数日間離れ離れになるのに、彼女を抱いて眠れないのは残念だった。

柔らかな大きなベッドに横たわり、彼女特有の香りを嗅ぎながら、黙の美しい口元が少し上がった。

彼女の香りを嗅ぎながら一晩過ごせるのも、とても良いことだ。

黙がうとうとと半分眠りかけていたとき、柔らかな存在が彼の腕の中に滑り込んできた。

女性の馴染みのある柔らかな体を抱きしめ、黙は目を見開き、嬉しそうに彼女の額にキスをした。

彼が燃の唇にキスしようと下がったとき、彼女は一撃で彼の顎を押し、彼の頭を押しのけた。

「これからは私と同じベッドで寝たいなら、勝手にキスしないで!」

彼女は自分に言い聞かせていた。すべては自然なことだと。でも、あのやり方はまだ受け入れられなかった。

彼女は二人が共に楽しむことこそが、真の水魚の交わりだと思っていた。