彼の自責の声を聞いて、橋本燃の心は柔らかくなった。
実際、彼女もこれは人間として当然のことだと思っていた。そこまで気にする必要はないのだ。
彼が彼女を喜ばせ、心身ともに快適にしようとする努力を、彼女は感じ取っていた。
燃は布団をめくり、体を回して田中黙を抱きしめ、彼の唇に軽くキスをした後、頭を彼の胸に埋めた。
「私...私...気持ちよかったわ。私が手伝おうか...」
「いいよ、自分で処理するから」黙は優しく燃の髪を数回撫でてから、立ち上がって浴室へ向かった。
しばらくすると、浴室から水の流れる音が聞こえてきた。
さらに数分後、水の音に混じって、男性の抑えた喘ぎ声が聞こえてきた。
燃は再び布団で顔と耳を覆い、それ以上聞くのを恐れた。
心は複雑な感情に包まれていたが、最も強く感じたのは幸せと大切にされている感覚だった。
男性は下半身に支配される生き物だと言われるが、黙はそんな噂通りではなかった。
さっきは実際の関係には至らなかったが、彼はできることをすべてしてくれた。
あそこまでの状態になっても、彼は彼女の気持ちだけを考え、約束を破ることはなかった。
このことに、彼女は本当に感動した!
……
黙が浴室から出てきたとき、寝室のベッドには燃の姿がなかった。黒い瞳に一瞬の失望が過ぎると同時に、淡い諦めの微笑みが浮かんだ。
やはり世間知らずの若い女性だから、恥ずかしがりやなのは理解できる。
ただ、明日の朝には戦地へ出発し、数日間離れ離れになるのに、彼女を抱いて眠れないのは残念だった。
柔らかな大きなベッドに横たわり、彼女特有の香りを嗅ぎながら、黙の美しい口元が少し上がった。
彼女の香りを嗅ぎながら一晩過ごせるのも、とても良いことだ。
黙がうとうとと半分眠りかけていたとき、柔らかな存在が彼の腕の中に滑り込んできた。
女性の馴染みのある柔らかな体を抱きしめ、黙は目を見開き、嬉しそうに彼女の額にキスをした。
彼が燃の唇にキスしようと下がったとき、彼女は一撃で彼の顎を押し、彼の頭を押しのけた。
「これからは私と同じベッドで寝たいなら、勝手にキスしないで!」
彼女は自分に言い聞かせていた。すべては自然なことだと。でも、あのやり方はまだ受け入れられなかった。
彼女は二人が共に楽しむことこそが、真の水魚の交わりだと思っていた。