第377章 夜明けまで奮闘する

「すみません、お嬢さん。私もアルバイトなので、店長が決めた価格を変えることはできないんです。」

「お願い、私は今10元しか持っていないの。安く一杯売ってくれない?今回だけ安くしてくれたら、これからよくここに買いに来るから、どう?」

「本当に申し訳ありませんが、値引きはできません。他の安いミルクティー店で買ってください!」

店員が譲歩しないのを見て、橋本燃も無理強いする気はなく、横に立っている田中黙を見て言った。「行きましょう!」

「この美しいお嬢さん、私の彼女はあなたの店のミルクティーが大好きなんです。味も品質も良いと思っているんですよ。

それに、あなたはミルクティー店で働いているのに、こんなにスタイルが良いから、あなたの店のミルクティーを飲んでも太る心配がないと思っているんです。どうか彼女に一杯安く売ってあげてくれませんか?」田中黙は誠実な眼差しで目の前の店員を見つめた。

店員は田中黙の神と人を共に怒らせるほど美しい顔を見て、脳に電流が走ったような目眩を感じた。

これは彼女が生まれてこのかた、初めて見る、こんなにハンサムで、こんなに気品のある男性だった。

「は、はい、わかりました!」

しばらくして、店員は作ったミルクティーを田中黙に手渡した。

店員が輝く目で田中黙を見つめているのを見て、橋本燃は素早くミルクティーを受け取り、つま先立ちで田中黙の頬にキスをした。「ありがとう、ダーリン。あなたは最後の10元しか残っていないのに、私にこんなに美味しいミルクティーを買ってくれて、本当に優しいわ!」

「君が欲しいものなら、何でも叶えるよ。」田中黙は愛情たっぷりの声で言った。

「でも今日はあなたの給料を全部使っちゃったわ。次の給料日まであと20日もあるのに、この20日間何を使うの?」橋本燃は心配そうに尋ねた。

「心配しないで、君をお腹を空かせたりしないよ。家に帰ったら先に寝ていて、僕は代行運転のバイトに行くから、一晩で200元くらい稼げるよ。」

「ダーリン、あなって本当に賢いわ!お金を稼ぐ方法を思いつくって知ってたわ。じゃあ早く家に帰りましょう、あなたが早く代行運転に行けるように。」

二人が去っていくのを見て、田中黙が大小の荷物を手に持っているのを見た女性店員の目には、極度の嫉妬の光が浮かんだ。