第389章 あなたを本当に仕組んだ犯人

「食べたら人を罵って汚い言葉を言わせるものよ」

橋本燃は温井詩葉の憎しみに満ちた目、彼女に飛びかかって一口で食べてしまいたいという表情を見て、心の中で自分を呪った。脳に腫瘍でも出来たのか、こんなわがままで、愚かで間抜けなお嬢様を救ってしまうなんて。

彼女に世間の厳しさ、人の心の測り難さを知らせるべきだった。外の世界では、誰もが彼女に譲歩したり、守ったりしてくれるわけではないのだと。

結局、燃は見捨てられなかった。

それは詩葉が田中黙を「お兄さん」と呼ぶから。

それは温井家の両親が彼女を実の娘のように愛してくれるから。

詩葉はハッとして、自分が話せるようになったことに気づいた。

「橋本燃、あなたってなんて意地悪なの。外国人を何人か雇って私をいじめるなんて。私の両親があなたを実の娘のように扱ってくれたのに、あなたは人間失格よ」

「バカはバカね。もう少しで輪姦されるところだったのに、こんな血の教訓があっても、敵と味方の区別もつかないなんて!」燃は地面に倒れている酒瓶で気絶させた数人を軽蔑的な目で見た。「あなたみたいなバカを相手にするのに、こんな役立たずを雇う必要があると思う?」

床に横たわる数人を見て、詩葉は少し自信なさげに言った。「あなたじゃなかったら、誰?帝都で私の敵はあなただけよ」

言い終わると、彼女は彼らが言ったことを思い出し、すぐに怒りの目で燃を睨みつけた。「さっきこの人たちが言ってたわ。彼らを雇った人は、本当に私に触れるなとは言ってなくて、ただ私を脅かすだけでいいと言ったって。彼らが勝手に本当に触れようとしたのよ。

これは裏で彼らを雇った人が、この件で私を脅かしたいだけで、しばらくすると私を火の中から救い出すつもりだったってことよ。

案の定、しばらくすると、あなたが現れてこの人たちを気絶させた。だから私を辱めようとした計画を立てたのはあなたよ。あなたは私のあなたに対する見方を変えさせたかったの。

だからこのヒーロー救出作戦を計画して、私をあなたに感謝させようとしたのね」

「私はヒーローかもしれないけど、あなたは美女とは言えないわ。せいぜい愚かな豚ね。まあ、今回はそれほど愚かではなかったわね。K国語が理解できるなんて、完全に愚かというわけではないようね」燃は嘲笑と賞賛の目で言った。