第387章 彼は配偶者を亡くした

「彼女たち8人で一緒に遊びに行くんだから、私たちより人数も多いし、何も問題ないよ、安心して!」西野豊は笑いながら言った。

「ただ言っただけだよ。結局、私たちは今、彼女たちの名目上の先生なんだから。彼女たちが私たちを先生と呼ぶなら、先生としての責任を果たさないとね。」

「その通りだ。あの子たちは調子に乗ると度を知らないからな。酔っ払ったら危ないし、私たちはお酒を控えめにして、いざという時に彼女たちの面倒を見られるようにしておこう。」木村凡が同意した。

「じゃあ、お前たちに任せるよ。知ってるだろ、うちには恐妻がいるんだ。これ以上帰りが遅くなったら、家に帰ったらドリアンの上で正座させられるぞ。」西野は情けない顔で言った。

「家庭があって子供もいる人はさっさと帰りなよ。ここは俺たちに任せておけば大丈夫だ!」高橋経緯は笑いながら言った。

「じゃあ、先に帰るよ!」西野はそう言って個室を出た。

西野が出て行ってしばらくすると、橋本燃の携帯が鳴った。

田中黙からの電話だと分かると、燃の顔に心からの喜びの表情が浮かんだ。

「先に話してて、ちょっと電話に出てくるね!」

「早く行ってあげなよ、田中さんを長く待たせちゃダメだよ。」

燃は輝くような笑顔で紫狐のお面をつけ、小さな足取りで個室を出た。

「本当に心から惹かれ合う愛情を持つというのは、人を輝かせ、愛のピンクの泡を放つものなのね。橋本燃と田中黙は、私が今まで見た中で最も相性がよく、最も完璧なカップルだわ。彼らを見ていると、幸せという言葉が自然と浮かんでくる。高橋兄さんはどう思う?」

経緯はゆっくりとワイングラスを揺らし、グラスに映る自分の目をじっと見つめた。

「田中は背が高くてハンサム、燃は美しく才能がある。確かに天が結び付けた幸せな夫婦だね。」

経緯はグラスから視線を移し、春風のような笑顔で凡を見た。「今ならあなたもそんな幸せを手に入れられるよ。彼は妻を亡くしたんだ。もう誰もあなたの幸せを邪魔する人はいない。」

凡の優しく美しい顔に珍しく動揺の色が浮かんだ。「高橋兄さん、変なこと言わないで。私はもう彼への思いは諦めたわ。彼がどんな状況にあろうと、私には関係ないの。」

「そう?関係ないなら、なぜ顔を赤らめるんだい?」

「お酒を飲み過ぎただけよ。」