エレベーターのドアが開き、陸橋北都が曲がり角に来たとき、本来なら左に曲がって自分の部屋に戻るはずだったが、最後に少し黙ってから右に曲がった。
後藤澄玲のスイートルームの前に来ると、陸橋北都はポケットからルームカードを取り出し、ドアのセンサーにかざすと、すぐにドアが開いた。
両手をポケットに入れて中に入ると、後藤澄玲が何事もなかったかのように枕を抱えてベッドで横向きに眠っているのを見て、陸橋北都の表情は外の空よりも暗くなった。
自分は数日間帰っておらず、今日は葉山千代を連れてリゾートに来て、二人は夜にも口論したのに、彼女はよく眠れるものだ。
どうしてそんなに気楽でいられるのか?
陸橋北都は、無神経さで言えば、後藤澄玲が二番目なら、一番目を名乗る者はいないだろうと思った。