020 小さな子、どうして私を利用するの?

世界も一緒に狂わせたいのか?

彼女は同姓同名であることを願っていたが、しかし——

勝山子衿は視線を下げ、初代学長の欄の後ろにある名前に目を落とすと、無表情になった。

やはりあの狂人だ。

初めて会った時、彼女の神経を解剖しようとした精神異常者だ。

温井奈海は少女の表情に微かな変化を感じ取った。「姉さん?」

子衿は我に返り、少し複雑な表情を浮かべた。「ノートン大学のどの専攻を学びたいの?」

彼女の記憶が正しければ、当時彼女がノートン大学にいた頃は、神学、霊学、超自然現象研究学、錬金学といった類の専攻しかなく、他の大学とは全く相容れないものだった。

狂人の思考は、正常な人間には到底理解できない。

しかし奈海は首を振り、淡々と言った。「考えただけさ。どうせ入れないし」

他の大学と違い、ノートン大学には試験がなく、高校の成績も見ない。学校側から直接送られてくる推薦状を持っている者だけが、学校に入る初歩的な資格を得られる。

言い換えれば、和国の高校トップの成績や、SATテストで満点を取ったとしても、推薦状がなければ入学できない。

ノートン大学の入学基準が一体何なのか、また一年間でどんな学生を受け入れているのか、誰も知らない。

それでもノートン大学は他の大学を安定して押さえ、常に第一位の座を維持している。

「行きたいなら、行けるわ」子衿は少し考え込んだ後、「不可能なことなんてないわ」

ただし神学を学ぶなら、やめておいた方がいい。

そう思いながら、彼女は再びノートン大学の百科事典の項目を見下ろし、学校に物理学、数学、機械工学などの通常の専攻があることを確認して安心した。

奈海は顎を引き締め、唇を引き締め、指を握りしめた。「姉さん、東京から戻ってきたら、僕が姉さんと父さんを養うよ」

彼は感じていた。姉が少し変わったことを。以前も寡黙だったが、今のような冷淡さはなかった。まるで何も彼女を動揺させることができないかのようだった。

勝山家は一体何をしたのだろう?

「それはずっと先の話よ。大学を卒業してからね」子衿は物憂げな表情で言った。「今回帰ってきたのは、あなたたちを東京に連れて行こうと思ったからよ」

奈海の目がまた冷たくなり、唇の端が下がった。「行かない」

彼は東京が嫌いだった。そこにいる人々も嫌いだった。