19班は公認のゴミクラスで、エリートクラスや国際クラスはもちろん、普通クラスからも見下されていた。
鈴木知晩は修斗羽がただのナイトクラブやレース場をたむろする不良少女に過ぎないことを知っていたが、江口燃が並の人間ではないことも理解していた。
これは偶然、鈴木のご老人から聞いたことだった——
江口燃は、帝都の名家と関係がある。
松本家ほどの格ではないにしても、東京の四大財閥が敵に回せるような相手ではない。
そして今、勝山子衿が燃を殴った。その結果がどうなるか、考えるまでもないだろう?
知晩はイヤホンのコードを指に巻きつけながら言った。「叔母さん、お昼に燃がバイクで学校を出て行くのを見たんです。まさか家に……」
「分かったわ」曼華は驚きと怒りを抑えながら言った。「本当に助かるわ、知晩」
「当然です、叔母さん」知晩は言った。「おじいさまが学校で従妹の面倒を見るようにと言われたので、お年寄りの言うことを無視するわけにはいきません」
さらに何気なく付け加えた。「でも叔母さん、この件はおじいさまには知らせない方がいいと思います。家族の問題だけでも十分おじいさまを悩ませているので」
曼華も同じ考えだった。「あなたはいつも思慮深いわね、知晩。安心して勉強に集中しなさい。叔母さんが解決するから」
電話を切ると、彼女は胸が激しく上下し、怒りが収まらなかった。
入学してまだ数日なのに、子衿はすでに一連のトラブルを起こしていた。
勝手にクラス替えをしたのはまだしも、今度は人を殴った?
しかも殴ったのが燃だなんて?
執事も聞いていて、驚いて尋ねた。「奥様、江口燃というのは帝都の……」
「そうよ」曼華はうんざりした様子で言った。「帝都側が彼の身分を意図的に隠していて、私も彼が母親の姓を名乗っていることしか知らないわ」
燃の母親は東京の江口家の出身だった。
計算すると、燃は江口漠遠のことを叔父さんと呼ぶ関係になる。
執事は慎重に言った。「奥様、次女様が燃少爺を殴ったとなると、帝都はともかく、江口家側も黙っていないでしょう」
もしこれをうまく処理できなければ、勝山家の株式も揺らぎ、損失は億単位になりかねない。
「やっぱりね、いつも私が彼女の尻拭いをさせられるわ」曼華は冷笑した。「先に小切手を用意して、私は学校へ行って彼女を連れて江口家に謝罪に行くわ」