話していたのは小林玉子だった。
小林玉子は今年二十八歳だが、書画の造詣は浅くなく、才能もあり、若くして成功していると言える。
彼女の師匠は書道の大家であるため、当然彼女も招待を受けていた。
彼女は早めに来ていたので、カメラも彼女の後ろについていた。
玉子は若気の至りで、何も考えず、結果も考慮せずに、そのまま暴露してしまった。
どうせ彼女には何の関係もないことだった。
玉子はライブ配信のカメラの前で、巻物の中央にある薄い模様を指さして言った。「これは江藤厚志先生の専用印です。素人には分かりませんが」
「よく見ると、この模様が『江』という字を形作っているのが分かります」
青葉の教師たちは顔を見合わせ、不満の色を隠せなかった。
幸い、この時点でライブ配信を見ている人はまだそれほど多くなかった。
芸術部の部長は衝撃から我に返り、手を上げてカメラマンに一旦カメラを止めるよう指示した。
玉子の表情は冷たかった。「こんなことが起きて、貴校はどう説明するつもりですか?」
彼女は一昨日この作品を江藤厚志に渡したばかりなのに、今日ここで見ることになるとは。
盗まれたのでなければ、信じられない。
「この件については、私たちも知らなかったのです。まさか生徒がこれほど大胆なことをするとは思いませんでした」芸術部の部長も言い訳せず、「こうしましょう。後ほど開会式で公に批判し、退学処分にします」
不正行為に対して、青葉は絶対に容認できない。
ましてや、この件は江藤厚志に関わることだ。
今回、学校は多くの芸術界の大家を招待し、東京書道協会の会長も来ていた。
しかし江藤厚志は、和国書道芸術総協会の理事である。
その地位と身分は、全く同等に扱えるものではない。
江藤厚志の字を盗用するとは、和国書道芸術総協会に挑戦するようなものではないか?
芸術部の部長はその巻物の字を見て、眉をひそめた。
彼は以前から疑っていたが、やはり勝山子衿自身が書いたものではなかったのだ。
玉子の表情はようやく和らいだ。「貴校の決定は公正です。確かに厳罰に処すべきでしょう」
彼女はもう見る気も失せ、展示室を出ると、ちょうど鈴木知晩と出くわした。
「小林先輩」知晩は笑顔で挨拶した。「あなたも来ていたなんて思いませんでした」