088 傲慢、皆の前で書く【1更】

話していたのは小林玉子だった。

小林玉子は今年二十八歳だが、書画の造詣は浅くなく、才能もあり、若くして成功していると言える。

彼女の師匠は書道の大家であるため、当然彼女も招待を受けていた。

彼女は早めに来ていたので、カメラも彼女の後ろについていた。

玉子は若気の至りで、何も考えず、結果も考慮せずに、そのまま暴露してしまった。

どうせ彼女には何の関係もないことだった。

玉子はライブ配信のカメラの前で、巻物の中央にある薄い模様を指さして言った。「これは江藤厚志先生の専用印です。素人には分かりませんが」

「よく見ると、この模様が『江』という字を形作っているのが分かります」

青葉の教師たちは顔を見合わせ、不満の色を隠せなかった。

幸い、この時点でライブ配信を見ている人はまだそれほど多くなかった。

芸術部の部長は衝撃から我に返り、手を上げてカメラマンに一旦カメラを止めるよう指示した。

玉子の表情は冷たかった。「こんなことが起きて、貴校はどう説明するつもりですか?」

彼女は一昨日この作品を江藤厚志に渡したばかりなのに、今日ここで見ることになるとは。

盗まれたのでなければ、信じられない。

「この件については、私たちも知らなかったのです。まさか生徒がこれほど大胆なことをするとは思いませんでした」芸術部の部長も言い訳せず、「こうしましょう。後ほど開会式で公に批判し、退学処分にします」

不正行為に対して、青葉は絶対に容認できない。

ましてや、この件は江藤厚志に関わることだ。

今回、学校は多くの芸術界の大家を招待し、東京書道協会の会長も来ていた。

しかし江藤厚志は、和国書道芸術総協会の理事である。

その地位と身分は、全く同等に扱えるものではない。

江藤厚志の字を盗用するとは、和国書道芸術総協会に挑戦するようなものではないか?

芸術部の部長はその巻物の字を見て、眉をひそめた。

彼は以前から疑っていたが、やはり勝山子衿自身が書いたものではなかったのだ。

玉子の表情はようやく和らいだ。「貴校の決定は公正です。確かに厳罰に処すべきでしょう」

彼女はもう見る気も失せ、展示室を出ると、ちょうど鈴木知晩と出くわした。

「小林先輩」知晩は笑顔で挨拶した。「あなたも来ていたなんて思いませんでした」