096 伊藤雲深:彼女は私の薬【2更】

半分は上に、半分は下に、真ん中の部分はテーブルの中に。

さらに木屑が散り落ちていた。

「……」

食堂全体が一瞬静まり返った。まるですべての騒がしい音がこの一本の箸に連れ去られたかのようだった。

江口燃はずっと勝山子衿に注目していたので、見逃すはずがなかった。

彼は無意識に手を緩め、持っていた食事トレイが「ガチャン」と音を立てて落ちた。

トレイの中の食事が部下の全身にこぼれた。

部下は今回叫ばなかった。人がすでに呆然としていたからだ。

彼だけでなく、この光景を見た学生は皆、呆然としていた。

まるで幽霊でも見たかのように。

鈴木知晩は自分の食事トレイからわずか半寸の距離にある箸を見つめ、頭の中が「ブーン」と鳴り響いた。「……」

彼女は信じられない様子で勝山子衿を見つめ、唇まで震えていた。

もしこの箸が少しでもずれていたら、テーブルに刺さるのではなく……

知晩はそれ以上考えることができなかった。制服は冷や汗でびっしょりと濡れ、呼吸が乱れていた。

彼女の体は止まらずに震え、立ち上がる力さえなくなっていた。

隣の女子学生も相当驚いており、知晩の袖を引っ張っていた。

誰も少女の手からどのように箸が飛んだのか見ていなかった。

しかしそれは重要ではない。

重要なのは、子衿がどうやって木製の箸をテーブルに突き刺したのかということだ。

食堂はまだ死のような静けさに包まれ、視線はすべて少女に集中していた。

子衿は新しい箸を取り、窓際の席に座った。

「何見てんだ?」燃が目を走らせ、冷笑した。「まだ見足りないのか?目を抉り出して、近くで見せてやろうか?」

学生たちはすぐに視線を戻し、頭を下げて食事に集中し始めた。

燃は顎を上げ、ようやく気分が少し良くなった。

どうやら彼の校内暴力団のボスとしての威厳はまだ健在のようだ。

修斗羽はリンゴを一口かじり、隣に座った。

まだ我に返っていないようで、数秒後にようやく苦しそうな声で言った。「勝山パパ、今の……」

「何でもないわ」子衿は箸で野菜をつまみ、淡々と言った。「力の加減を忘れただけ」

腕力が強すぎるので、彼女は改善する必要があった。

羽は瞬時に口の中のリンゴが味気なく感じた。

力の加減を忘れただけで、一本の箸をテーブルに突き刺した。