陸田放はすぐさま幸災楽禍の気持ちになり、わざと大声で言った。「聞いたか?先生がお前に後ろで立たせろって言ってるぞ」
この公開授業は全部で2時間あり、今はまだ始まって10数分しか経っていなかった。
罰として立たされるなんて、しかも高校2年生全員の前で、勝山子衿は今回大恥をかくことになる。
彼女のあの最下位の学力で、どんな問題が解けるというのか?
鈴木知晩と比べようなんて?
自分に資格があるかどうか、考えてみろよ。
階段教室の中には、生徒が1000人近くいて、騒がしさはどんどん大きくなっていった。
「静かに!」老教授は机を叩き、かなり怒っていた。「君、どちらかにしなさい。前に出てこの問題を解くか、後ろに立つかだ」
英才クラスの陸田放と仲の良い数人の男子生徒たちは、みな見物する表情を浮かべていた。
普通クラスと重点クラスも騒ぎに加わり、やじを飛ばし始めた。
衆人環視の中、勝山子衿は立ち上がった。
修斗羽が彼女を引き止めようとしたが、彼女に手で制止された。
しかし、彼女が向かったのは教室の後ろではなく、黒板の方だった。
「……」
教室の中の声は一瞬止まり、すぐにより大きな爆発が起こった。
その中で、多くの声が英才クラスから来ていた。
「まさかまさか、落ちこぼれが黒板で問題を解こうとしてるの?」
「ふん、それは以前私たちのクラスにいた時、先生たちが彼女が寝ていても無視したからだよ。英才クラスから追い出されたのも当然だね」
「私が思うに、19組は彼女にぴったりだよ。ゴミとゴミ、ゴミ捨て場だね」
江口燃は顔を上げ、手にしていた化学の教科書を、この言葉を言った英才クラスの生徒に向かって投げつけた。
彼の瞳は少し赤みを帯び、冷笑して言った。「その犬の口を閉じろ」
数人の生徒はすぐに黙った。
誰であれ、江口燃だけは怒らせてはいけない。
燃は学校ではまだ自制しているほうで、外では本当に暴れん坊だった。
彼は気性が荒く、その上彼の背後の勢力は謎に包まれていたため、生徒たちの多くは彼と対立したくなかった。
特に燃はテコンドーの黒帯でもあり、本当に怒ると人を殴るのだ。
鈴木知晩は唇を噛み、燃が子衿のために怒っているのを見て、心の中で耐え難い思いをしていた。
彼女にはわからなかった。