124 試験なんて適当に書くだけでしょ?【2更】

彼女が見ていないことは、人が死ぬような大事ではないということだ。

大したことではないはずだ。

修斗羽もこの時言った。「勝山パパ、あまり期待しないでください。彼らは江口燃の後ろについて長いこと、何でもかんでも大騒ぎするようになっちゃったんです」

「この前なんて、どこかの女子トイレの外で盗み聞きしてたらしくて、慌てふためいて走ってきて『大変なことになった』って言うんです」

「で、勝山パパ、何があったと思います?」修斗は肩をすくめた。「高校三年生の女子が江口燃に告白しようとしていただけだったんです」

勝山子衿は子分を一瞥した。「……」

「羽田さん、それは確かに大事件ですよ」子分は痛々しい表情を浮かべた。「だってその先輩は燃さんに告白するだけじゃなくて、他校の男子も何人か連れてきて、燃さんにヒーロー気取りをさせようとしてたんです。僕らが警告しないわけにはいかないでしょう」

それに、女子トイレの外で盗み聞きなんてしてない。ただグラウンドに行く途中で通りかかっただけだ。

どんなに不真面目でも、わざわざ女子トイレの外で盗み聞きするような趣味はないぞ。

修斗はため息をついて、深刻な様子で言った。「お前は江口燃について行ってよかったと思え。もし俺についてきてたら、とっくに三級障害者にしてたところだ」

「勝山パパ、信じてください、本当に大変なことなんです」子分は修斗を恨めしそうに見て言った。「さっき教務主任の部屋の前を通ったら、白川のババアが教務主任に会いに行ってるのを見たんです」

「中間テストのとき、あなたに一人だけ別室を用意して、カンニングを防止するって言ってました」

勝山子衿はスマホの画面に置いていた手を一瞬止め、顔を上げた。「あなたも私についてこなくてよかったと思いなさい」

子分は「……」

彼の幼い心は深い傷を負った。

「白川のババア、頭おかしいんじゃない?」修斗の表情が冷たくなった。彼女は少女の方を見た。「何がカンニング防止よ?」

子衿は気にする様子もなく、適当に「かもね」と答えた。

子分が今日言い出さなければ、彼女はその人のことなど完全に忘れていただろう。

「そういえば思い出した」修斗は眉をひそめた。「勝山パパ、あなたが陸田放と賭けたのは英才クラスのテスト問題で、彼らと同じ試験会場で受けるはずだったよね」