324 顔が痛い、IBIは勝山さんのためにやってきた【1更】

裴戸天志は急に顔を上げ、思わず驚いた。「教授?」

彼は自分の心配に何の問題もないと思っていた。

なぜなら、そのような事件は実際に起きたことがあるからだ。

研究室のデータが新しく入ったアシスタントによって漏洩し、取り返しのつかない損失を被ったことがあった。

最終的な調査で、そのアシスタントは敵対勢力から送り込まれたスパイだったことが判明した。

しかし当時は誰もそんなことが起こるとは思わず、そのアシスタントを疑う者もいなかった。

なぜなら、そのアシスタントは大学を卒業したばかりの学生で、研究室に招かれたのだから。

研究の才能があり、天才だった。

O大陸では、研究室にはランク分けがある。

ヘルヴィンが所属する物理学研究室は最高のS級で、機密性が非常に高く、簡単に入れるようなところではない。

「天志、もし勝山さんが本当にそれを望んでいたなら、彼女は私の居場所を特定するのを手伝ったりしなかっただろう」ヘルヴィンの表情には失望の色が見えた。「用心することは大切だが、他人をそのように疑うのは正しくない」

彼はまた同じ二文字を言った。「謝罪しなさい」

天志の神経は一瞬で緊張した。

ヘルヴィンは彼の指導教官ではなく、彼の研究分野とも何の関係もなかった。

しかしヘルヴィンは学術界で非常に高い地位にあり、彼の指導教官とは比べものにならなかった。

彼はいつも優等生で、小さい頃から先生たちの目にかかる良い生徒だった。こんな風に言われたことはなかった。

会議室内では、他の先生たちの視線も彼に向けられていた。

背中に針を刺されるような感覚だった。

天志は唇を引き締め、立ち上がって勝山子衿に向かって頭を下げ、苦しそうに三文字を言った。「すみません」

子衿は彼を見ることなく、量子力学に関するいくつかの質問を続けた。「教授、続けましょう」

ヘルヴィンの注意もこれらの質問に引き戻され、再び熱心に話し始めた。

天志は自分の気持ちをうまく表現できなかった。

完全に無視されることほど辛いものはない。

彼は横に座り、黙って何も言わなかった。

しかし彼は認めざるを得なかった。確かに子衿がいたからこそ、ヘルヴィンは救われたのだ。

そのとき携帯が鳴り、天志はまるで救われたかのように外に出て電話に出た。