第28章 DF社の面接

「今日はここまでにしましょう。残りは明日やります!」斎藤遥は書類を片付けながら、彼女に言った。

「うん、あと5分で終わるから!」佐藤若菜は顔も上げず、指が素早くキーボードを叩いていた。

このような若菜の姿を、遥は初めて目にしていた。集中している彼女は、その美しい容姿も、普段の人との付き合いにおける鋭さがもたらす不快感も忘れさせるほどだった。全身からプロフェッショナルな女性の機敏さ、自信、そして強さが漂い、彼女の意見を軽視できないオーラを放っていた。

「OK、できた!」若菜は完成した書類を遥のメールボックスに送り、パソコンを閉じて、大きく伸びをした。

「以前はよく残業してたの?」遥は彼女の手を取り、無意識に抵抗する彼女の手に、思わず力を込めた。

彼の意志の強さを感じ、若菜はもう抵抗するのをやめた。ただ、彼の手の力強さと温もりが彼女の心を乱し、とりあえず適当に頷いて、彼について寝室へ向かった。

彼が自分の布団を広げるのを見て、若菜はベッドの反対側に行って自分の布団を引っ張ろうとしたが、遥に先を越されて布団を取られてしまった。彼は淡々と言った。「僕の布団で寝よう。どうせ君は夜中に潜り込んでくるんだから」

「あなた—」若菜は彼の言葉に顔を赤らめた。自分でも悔しいことに、夜にどれだけ彼から離れていても、朝には必ず彼の腕の中で目覚めてしまうのだ。

「寝よう、僕は疲れた」遥はぼんやりしている彼女を見て、彼女の布団を近くのカーペットに放り投げ、さっと布団に潜り込んだ。

若菜はベッドの端でしばらく立ち尽くし、この男が本当に疲れ果てて、ベッドに倒れるとすぐに眠ってしまったのを見て、安心して静かに布団をめくり、中に入った。

彼の体から半尺ほど離れていても、布団全体が彼の濃厚な男性の香りに包まれていて、彼女はそこに横たわりながら全身が落ち着かず、心臓が自然と早く鼓動し始めるのを感じた…

案の定、朝目覚めると、彼女は遥の腕の中にいただけでなく、片足が彼の足に乗っていて、一目見ただけで彼女が自ら彼の腕の中に入り込んだことがわかった。