第134章 恋が戻ってきたと聞いた(3)

その後、耐え難い沈黙が続き、斎藤遥の腕の中にいる佐藤若菜は、相変わらず平静を装っていた。ただ、先ほどまで幸せに輝いていた瞳が、徐々に曇っていくのが見て取れた……

長い時間が過ぎ、遥は窓の外を見ていた視線を戻し、そっとカーテンを引いた。満天の星と街の灯りを、一枚の布で窓の外に閉ざしたのだ。

まるで、彼女が過去という一章で、彼を心の扉の外に閉ざしたように。

だが彼は信じていた。彼女に必要なのは時間だけだと。そして彼と彼女には、まだ一生という時間がある。焦る必要はない。

「遅くなった、寝よう」遥は彼女の額に軽くキスをし、暖かい風のような声で語りかけた。その声は聞く者を穏やかにさせ、リラックスさせるものだった。

若菜は動かず、ただ手を伸ばして再びカーテンを開けた。遥の腕から身を抜き、ガラス窓を大きく開けると、熱い風が入ってきた。彼女は窓から半身を乗り出し、振り返って遥に淡く微笑んだ。その目は静かで、回想に浸る彼女は特別に美しかった。ただその美しさには、どこか哀愁と悲壮さが漂っていた。

「あの頃、毎週末、尚誠は窓の下から小石を投げたの。いつも正確にガラス窓に当たって、私が窓を開けると、彼の笑顔が見えた。朝日のように明るく温かい笑顔だった」

遥はそっと近づき、窓から身を乗り出す彼女を引き戻した。親指で彼女の頬を優しく撫で、柔らかく言った。「遅いよ、寝よう。今は聞きたくない」

思い出が苦いものなら、封印させておこう。

若菜は彼の言葉を無視し、表情は相変わらず穏やかだった。目には過去の美しい時間への懐かしさが浮かび、口元には淡い笑みを浮かべていた。「こんな日々が4年間続いたの。卒業する時、彼はアメリカに留学することを決めた。あの頃、私たちは未来に希望と憧れでいっぱいだった。彼が留学し、私が日本で働いて、彼が勉強を終えて帰国し、国内で1年安定したら結婚しようって計画を立てたの」

遥は彼女の様子を見て、もう何も言わず、ただ彼女を優しく抱きしめた。彼女の回想が甘いものであれ悲しいものであれ、今この瞬間、彼の体温で彼女を温かく包みたかった。