第154章 風雨の夜に帰る人(2)

「はい」佐藤若菜は父親のために食器を並べながら、軽く返事をした。

明日帰ってくるって言ってたのに、どうして今急いで戻ってくるの?こんな大雨の中、高速道路を走るなんて危険じゃない?

若菜は心の中で不安を感じながらも、父と母と一緒に落ち着いた様子で食事をし、会話を楽しみ、異常を悟られないようにした。

父と母のために皿洗いを終えると、隠し切れない不安と恋しさを胸に、バッグを手に取って家を出た。

「遥、高速道路?」電話がつながるとすぐに、若菜は本題に入った。

「うん、家に帰った?雨に濡れなかった?」斎藤遥の声には少し喜びがあった。この女性から自分に電話をかけてきたんだ!しかも彼を心配しているようだ。

「帰ったわ。もう話さないから、運転に集中して。急がないで、家で待ってるから」若菜は少し大きな声で言った。彼が運転に集中できるように、彼女の言葉がはっきりと聞こえるようにするためだった。

言い終わると、彼の返事を待たずに電話を切った。

家に帰るとすぐにシャワーを浴び、濡れた服を着替えた後、彼が帰ってくる時間を計算して、スマホにアラームをセットした。それからベランダのライトをつけて、彼が帰ってきたときに自分が待っていることがわかるようにしてから、ノートパソコンを抱えてベッドに入った。

少し不安を感じながらも、彼に電話やメッセージを送るのを我慢し、ただパソコンを抱えて天気の変化と高速道路の交通情報に注意を払い続けた。

時速150キロで走っていた遥は、電話を受けた後、速度を120キロに落としていた。妻の言うことは絶対に聞かなければならない!罠?そんなことはない、彼の妻は賢いから、騙せるわけがない!

最後のサービスエリアを通過するとき、遥は若菜にメッセージを送った。「サービスエリアにいる。あと1時間で家に着くよ。安心して先に寝ていて」

「うん、ゆっくり運転して!早く帰ってきたら、あなたのせいよ!」若菜の返信は強気だった。

遥はスマホを見て、首を振った。この女性は本当に「優しさ」という言葉の書き方を知らないんだな。でも、こんな強気な態度が、なぜか心を温かくする。

サービスエリアでコーヒーを一杯飲んでから、再び車に乗り込んだ。