第165章 ゆっくりと(3)

今夜の出来事は、あらゆる点で不可解さに満ちていた。今のところ、頭の糸口も見つからない。彼はそれ以上考えるのをやめ、直接佐藤班長に尋ねた。「佐藤班長、差し支えなければ誰なのか教えていただけませんか？お客様が私どもの所に来られた以上、何があったとしても、ご家族には説明する必要がありますので」

「もちろんです。ちょうど長男と次男に手伝ってもらって、その人物を呼んでもらおうと思っていたところです」佐藤班長は厳しい表情で頷き、斎藤延彦と斎藤空也に逮捕状を見せた：神宮寺天誠！

その名前を見て、延彦はむしろ安堵した：斎藤氏の重要な顧客ではなかった！それどころか、敵と言ってもいいだろう！ただ、誰が彼をここに招いたのだろうか？

一方、空也は顔色を少し変えた——今や彼ら三人の協力関係は、まさに互いに牽制し合っている状態だった：天誠は山田隼真が連れ戻したものの、二人は完全に信頼し合っているわけではなく、この不信感こそが彼が天誠を利用して隼真を牽制する機会だった。天誠がいなくなれば、顧客をアンジェに移す偽の動きが隼真によって本物に変えられる可能性が高く、そうなれば自分は本当に狼を室内に招き入れたことになる！

そう考えると、心の中で悔しさがこみ上げてきた：あいつは本当に少し馬鹿だ、自分が罪を犯したなら、あちこちうろつくべきではない。それなのにこんな敏感なパーティーに現れるとは。ここで逮捕された人間は、市長、副市長、各大銀行の頭取、メディアがみな見ている中で、たとえ潔白だとしても、警察は簡単には釈放しないだろう！ましてや営業をしている人間で、本当に潔白な人間が何人いるだろうか？

彼がここで逮捕されたら、この先の人生は終わったも同然だ！

「長男、次男、彼を呼んできてもらえませんか。私たちは彼を早く連れ出して、皆さんのパーティーの雰囲気に影響が出ないようにしたいのです」佐藤班長は丁寧に言った。

「はい、ありがとうございます、佐藤班長」延彦は頷き、空也に合図を送って人を呼びに行かせ、自分は佐藤班長から横から彼の犯した罪の詳細を聞き出し、斎藤氏との関連があるかどうかを確認しようとした。

「次男、あなたが招待状を送ってここに呼んだんじゃないのですか？」天誠は空也について前ホールへ向かった。