第183章 女性の戦闘力(3)

「私はダイエットをやめたわ!」佐藤若菜は顔を横に向け、橘美織を見つめながら静かに言った。その瞳は澄み切っていた。

「若菜、それはいいことよ!」美織はもちろん、ダイエットをやめることが彼女にとって何を意味するのか知っていた。

「うん、自分の心に素直になると、ずっと楽になるわ。彼は、リスクを冒す価値のある人よ。どう思う?」若菜は美織の腕をしっかりと抱き、静かに尋ねた。

美織は安心したような笑顔を浮かべ、じっと彼女を見つめて言った。「もちろんよ!あなたが本当に過去を手放して、斎藤遥に本当の気持ちを捧げられるなら、彼は確かにリスクを冒す価値のある人よ!」

二人は靴売り場に向かい、靴を選びながら会話を続けた。「私が完全に過去を手放せたかどうかわからないし、もし高橋尚誠に会ったら、どんな反応をするかもわからない。でも、遥に対しては、心が動いているのに自分を欺いたり、強がったりしたくないの!」

「未来のことは、誰にもわからないわ。今を大切にして、愛せるときに思いっきり愛すればいいのよ」美織は自分のことになると悩みがちだったが、他人のことについては、いつも透徹した洞察力と知恵を持っていた。

「そうね、私のことばかり話さないで!あなたと斎藤延彦はどう?天雄は彼になついているみたいね。私と電話するとき、『パパ』って呼んでたわ!」若菜はソファに座り、選んだ靴を試しながら、気遣わしげに橘美織に尋ねた。

「延彦が私に対してどうかって...あの5年間のトラウマがあるからか、過度に緊張して用心深くなっているの。何もかも管理して、コントロールしようとするから、正直居心地が悪いわ」

「でも、それも愛しすぎているからでしょうね。理解できるわ。だから、耐えられる範囲内なら、何も変えたくないの」延彦の話になると、美織の顔に苦笑いが浮かんだ。独立心の強い彼女にとって、突然誰かに毎日の行動を報告させられ、ほぼ1時間ごとに電話やメッセージで追跡されるのは、本当に堪えることだった。

しかし、悩みと言えば、それは愛ゆえの悩みだろう。