第330章 酒に酔えば情の深さを知る(1)

この軽い握手の中で、この瞬間から、二人の運命は絡み合うことになった。

「神宮寺が今日出所するから、一緒に迎えに行こう。彼の晴れ着を落とすんだ!我々三人の協力があれば、斎藤遥は死にたくても死ねないだろう!」斉藤空也はパソコンを閉じ、笑顔で田中蕎子に言った。

蕎子は空也の穏やかな笑顔を見ながら、全身が冷たくなるのを感じた——この男は葉山隆よりもずっと陰険だ!

葉山は何が起きても、まず妻子の安全を確保する男だった!

この男は復讐のためなら、妻が出産中でも放っておける。あまりにも冷酷すぎる!彼と組むなら、少しでも油断すれば骨まで食われ、痕跡すら残らないだろう!

蕎子は軽く返事をしたが、心の中では、この危険な協力関係の中でどうやって身を守るか計算していた。

柏泉刑務所。

「神宮寺天誠!こっちよ」木村飛雄はワークパンツに軽やかな刺繍入りのニットカーディガンを羽織り、シンプルで上品な大きな傘を差して、静かで温かみのある姿で立ち、刑務所の門から出てきた男に向かって軽く手を振った。

天誠はすでに入所時の私服に着替え、頭を上げて曇り空を見上げた。自分が入所した日と同じような、冷たく陰鬱な天気だった。

彼は重い足取りで前に進んだ。妻が微笑みながら彼を見つめ、迎えに来てくれていた。家に帰るのだ!

家に帰る!

事件が起きた時、親族も友人も、去る者は去り、避ける者は避けた。ただこの女性だけが彼を見捨てず、人生の最も低迷した時期に、ずっと彼の側にいてくれた。彼がまだ刑務所にいる間にも結婚証明書を取り、刑務所内で独特な結婚式まで挙げてくれたのだ。

あれほど誇り高く優雅な女性が、彼のために自分を塵の中まで低くしたのだ。

「妻よ、帰ろう」天誠は相変わらず美しい飛雄を見つめ、早足で近づき、彼女をしっかりと抱きしめた。涙が止まらなかった。

四年間の獄中生活で、彼のプライドと気性はすっかり磨り減っていた。この女性の温もりだけが彼を支え、自信と力を与え、予定より2年も早く出所できたのだ。

「あなた、帰りましょう」飛雄は優しく微笑み、彼の肩に寄り添いながら、ゆっくりと駐車場へ向かった。

「神宮寺!」空也が大声で呼んだ。

夫婦がゆっくりと振り返ると、空也と蕎子が大股で近づいてきていた。

飛雄の表情がわずかに変わった。