第85章 人を拾った

夏挽沅の紙に描かれた墨竹は、痩せて力強く孤高で、枝々は雪に傲り、節々は天に向かって伸び、まるで君子の豪気が雲を凌ぎ、俗に屈しないかのようだった。

上等な絵画では、画中の物は作画する人の心境と融合しており、夏挽沅の墨竹からは、彼女の心の中にある気節が明らかに感じ取れた。

落款には、鉄のように力強く金のように輝く「原晚夏」の三文字があった。

鐘先生は嬉しそうに夏挽沅の書画を持って帰った。もっと見ていたかったのに、それも叶わなかった。

時間はちょうど昼頃になり、本来なら鐘夫人は挽沅を食事に誘いたかったが、職場の用事があったため断念した。

大学のキャンパスの食事を食べたことがなかった挽沅は、清華大學の食堂で一食を注文した。

早めに来たため、この時間は学生たちがまだ授業中で、食堂には人が少なかった。挽沅は食事トレイを持って、食堂の隅にある個室に座った。

「すまない兄弟たち、かつて我々は同窓として、みんなが俺を信頼してくれて、ここでビジネスの第一歩を踏み出した。今や会社は経営に失敗し、ここでこの杯を飲んで、けじめをつけよう。」

個室は防音性が良くなかったため、挽沅は隣の部屋の会話をはっきりと聞くことができた。

「沈兄、相手が権力と財力を持っているからこそだ。あなたの能力なら、どうして彼らに負けるはずがある？！」

「もういい、彼らは今、俺を法廷に訴えた。俺は裁判に勝てない。不動産を売って六等分し、君たちの口座に振り込んだ。これからは安定した仕事を探してくれ。」話している人は非常に抑圧されているようで、声には明らかな疲労感が漂っていた。

「沈兄！」他の人たちがまだ何か言おうとしたが、止められた。

「さあ、この杯を飲もう。」

酒杯がぶつかる音が響き、他の人たちがどれほど名残惜しく思っていても、沈兄と呼ばれる人は断固として全員を追い払った。

挽沅は否応なくこの会話全体を聞き終え、口の中の食べ物をゆっくりと噛みながら、この沈兄と呼ばれる人は、なかなか責任感があると思った。

隣の個室では、皆が去り、沈騫は窓に寄りかかって、キャンパスの道を行き交う後輩たちを見ていた。

十年前、彼もこのキャンパスの優秀な学生だった。

意気揚々としていた彼は、卒業したばかりの頃、同じように考えと野心を持つ同級生たちを集め、自分たちの会社を設立した。