第136章 馬場

あの日、張教授に墨竹図を持ち帰られた後、張教授からは何の連絡もなく、夏挽沅は自然と自分の絵が選ばれなかったのだと思っていた。

ところが今朝起きたばかりのところに張先生から電話があり、もう一枚描いてほしいと言われた。

そこで小寶ちゃんが学校に行った後、挽沅は宣紙を机に広げて絵を描き始めた。

筆に墨をたっぷりと含ませ、筆先は龍蛇のように宣紙の上を自在に動き回った。しばらくすると、一枚の傲雪寒梅図が紙の上に現れた。

挽沅は「原晚夏」の三文字が刻まれた印鑑を押し、絵を机の上に広げて墨が自然に乾くのを待った。

「今日は会社に行かないの?」挽沅は好奇心を持って君時陵を見た。

時陵のいつもの習慣では、朝食を食べたらすぐに会社に向かうはずだった。

「今日はお客さんを接待するんだ」時陵は挽沅の絵から賞賛のまなざしを外し、「一緒に来ないか?」と言った。

「庄園で?私が一緒に行くのは不適切じゃない?」挽沅は少し躊躇した。結局、彼女と時陵の関係はまだ秘密にしておく必要があった。

「郊外だよ。今日のお客さんは中国人じゃないから、君が来ても問題ない。彼は君を知らないから」

時陵がそう言うのを聞いて、挽沅はもう悩まなかった。庄園にいても退屈なだけだし、時陵について外出した方がいい。

机の上の絵が乾いたら、挽沅は絵を丁寧に包み、使用人に頼んで張教授に届けてもらった。

お客さんもそろそろ到着する頃だろうと、時陵は挽沅を連れて郊外へ向かった。

高層ビルを抜け、郊外の小さな丘を越えると、突然視界に広大な草原が広がった。見渡す限りの草原には、多くの馬が悠々と歩きながら草を食べていた。

「少爺」林靖はすでに馬場の前で待っていて、時陵が車から降りるのを見ると前に歩み寄ってきた。

林靖の後ろには、馬場の責任者たちが続き、彼らも前に出て時陵に敬意を表して礼をした。

郊外の空気は特に新鮮で、草木の清々しさに満ちていた。時陵の後に、挽沅も車から降りた。

元々慎重な表情をしていた馬場の責任者やスタッフたちは、時陵の後ろにいる挽沅を見て、目に驚きの色を浮かべた。

今日の活動がどれほど重要かを彼らは知っていた。君少がまさか女性を連れてくるとは??この女性と君少はどういう関係なのか?!

皆はその場に立ち尽くし、この非常に美しい女性をどう呼べばいいのか分からなかった。