これらの軍服を着た兵士たちの手には、黒い銃まで握られていた。
夏挽沅は現代が夏朝に比べて、より民主的で平和であることを知っていた。一般の市民は一生涯銃を見ることすらないのに、まして、こんなにたくさんの銃など見たこともない。
そのとき、夏挽沅は君時陵が会おうとしている客の身分に少し興味を持った。
「今回来るのは鷹國の王子で、皇太子でもある」君時陵は小声で挽沅にこの客の身分について説明した。
挽沅は現代の歴史について少し知識があり、現在でも国王という言い方はあるものの、多くの国にとっては単なる虚しい肩書きに過ぎないことを知っていた。
しかし、たとえ肩書きだけでも、それは一国を象徴するものだ。
「今回彼らが華国を訪問するにあたって、私と鷹國の老親王には少し縁があるから、彼の子孫をもてなすことになったんだ」
「うん」
挽沅は時陵の話を聞きながら歩いていると、しばらくして二人は広大な草原の前に到着した。
遠くから、馬に乗った二人の大柄な人影が駆けてきた。
鞭の音が耳を刺すように鋭く、駿馬が疾走してきて、君時陵と夏挽沅から百メートルほど離れたところで徐々に速度を落とした。
「君さん、こんにちは。お会いできて光栄です」
金髪碧眼で白い乗馬服を着た男性が時陵に向かって歩み寄り、右手を胸に当て、軽く頭を下げた。
皇太子として、幼い頃から様々な先進的な教育を受け、現代世界の主要言語をいくつも習得することは必須の内容だった。そのため、この人物は発音にやや違和感があるものの、中国語で日常会話ができるほどだった。
「こんにちは」時陵はうなずき、隣にいる挽沅を遠方からの客に紹介した。「こちらは私の妻の夏挽沅です。こちらはチャーリー王子です」
チャーリー王子はようやく挽沅に目を向けた。その碧い瞳には驚嘆の色が満ちていた。
今日は客が来ることを知っていたので、挽沅は特に薄化粧をしており、より一層清楚で俗世を超越したような美しさを放っていた。
淡い青色の煙羅のドレスを身にまとい、まるで雲間の青空のように柔らかく穏やかな印象を与えていた。
西洋の女性は奔放で情熱的なことが多いが、チャーリー王子は東洋女性の優美で控えめな水のような美しさを間近で見るのは初めてで、一瞬見とれてしまった。