言うが早いが、陳勻だけではこの件を成し遂げることはできなかった。
そこで陳勻は会社に電話をかけ、現在夏挽沅の人気が高いこと、さらに夏挽沅自身が作詞作曲もできて歌も歌えることから、彼女のためのソロアルバムを制作したいと会社に申請したいと伝えた。
普段は話しにくい王社長が、今回はなんと気前よく承諾した。「ただね、陳ちゃん、あなたも分かっているように、やはり一度審査を通さないといけないからね。その時は先に歌詞と曲を持ってきて私に見せてくれ。それからアルバムを出すかどうか決めよう」
「分かりました、社長」陳勻は少し疑問に思いながらも、いつも通りの口調で王社長との会話を終え、電話を切った。
しばらくして、陳勻は突然あることを思い出し、スマホを取り出してメモを確認すると、頭を叩いた。「あっ、大事なことを忘れてた!!」
この数日間、陳勻は郭天のことばかり気にしていて、もうすぐ『長歌行』ドラマの宣伝段階に入ることをすっかり忘れていたのだ。
華国にはスイカテレビ局という、バラエティ番組を非常に優れた形で制作し、多くの視聴者を抱えるテレビ局があった。
毎回の番組では、有名なスターたちをゲストとして招き、時間が経つにつれて、放映前の多くのドラマや映画のチームが、作品を市場に投入する前に、スイカテレビ局とバラエティ番組の出演を約束し、視聴者に作品を事前に宣伝するようになっていた。
今回も楊監督のおかげで、楊監督とスイカテレビ局の人気バラエティ「楽しい大世界」の司会者が友人だったため、『長歌行』のために一回分のバラエティ番組出演の機会を獲得していた。
最近忙しすぎて、陳勻は時間のことをすっかり忘れていた。今確認してみると、明日が収録日だと気づいて驚いた。まだ夏挽沅に知らせていなかったのだ。
大変だ!
陳勻は急いで挽沅に電話をかけ、この件を知らせた。
挽沅はテレビでそういったバラエティ番組を見たことがあり、みんなが自然に会話をしたり、ゲームをしたりするだけだったので、特に緊張はしていなかった。むしろ陳勻の方が心配で仕方なく、明日何か問題が起きて、挽沅がまたネット全体から批判されるのではないかと恐れていた。
前回、挽沅に食事の誘いのメッセージを送ったが返事がなく、秦塢は自分が少し無礼だったかもしれないと感じていた。