第156章 金牌デザイナー

陳勻は適当に服を見てみたが、ラックにある服は、お尻が見えるほど短いか、床に引きずるほど長いかのどちらかだった。長さが適切なスカートも、デザインは前世紀の服のように古臭かった。

一方、阮瑩玉のラックを見ると、とても素敵な服ばかりだった。

芸能界では、皆が利益を争う関係にあり、特に夏挽沅と瑩玉は同じドラマの主要な女優二人だった。瑩玉が挽沅を標的にするのは、これが初めてではなかった。

明らかに、この服は瑩玉側の人間によって意図的に入れ替えられたものだった。

しかし今は他に方法がなかった。メイクアップアーティストは全て瑩玉に占領され、衣装も良いものが割り当てられていなかった。挽沅が今日着ているショートドレスは確かに綺麗だが、バラエティ番組の収録には適していなかった。

陳勻は頭を悩ませながら、今から外のメイクショップに誰かを呼びに行けるかどうか考えていた。しかし、衣装も大きな問題だった。

ちょうどそのとき、夏挽沅の携帯が鳴った。

「もしもし？わかりました」

挽沅は電話に出ると、短い言葉を交わしただけで電話を切り、陳勻に一緒に外に出るよう合図した。

メイクルームでは、挽沅が出て行くのを見て、瑩玉は得意げに微笑んだ。

彼女はこの周辺の地図を事前に調べており、スイカテレビ局から半径5キロ以内には大規模なメイクアップスタジオがないことを知っていた。

帝都の交通渋滞を考えると、挽沅が遠くの場所でメイクをして服を着替えたら、今日は確実に収録に間に合わないだろう。

「あれ、もう収録しないの？どこに行くの？」陳勻は挽沅の行動に困惑した。

確かにテレビ局のメイクアップアーティストのやり方はひどかったが、だからといって収録をキャンセルする必要はないだろう。このバラエティ番組は挽沅の知名度を上げるのに大きな効果があるはずだった。

「収録するわよ、メイクに行くの」

「どこに？」

テレビ局を出ても、陳勻には挽沅がどこに行くつもりなのか理解できなかった。

挽沅が陳勻を連れてテレビ局の裏口を出て、路上に停まっている黒い商用車に乗り込むまで。

商用車の中に一式のメイクアップキットと何着もの衣装がハンガーにかかっているのを見て、陳勻は呆気にとられた。