第163章 （甜甜甜）また二人の世界

「え？どういう意味？」陳勻は少し困惑した。

「自分で他のレコード会社に連絡できる？」

「できないことはないけど、会社の規定では、それは規則違反になるわ」勻は少し困った様子で言った。

「大丈夫よ、スタジオを探してみて。残りのことは心配しなくていいから」

今の勻は、夏挽沅をとても信頼していた。挽沅がそう言うなら、と勻は承諾した。

電話を切ったばかりのところに、君時陵が屋敷に戻ってきた。

「明日、予定ある？」時陵は靴を脱いで、挽沅の側に歩み寄りながら尋ねた。

「ないけど、どうしたの？」

時陵は腕を上げて時計を見た。まだ間に合う。「おじいさんが君胤に会いたがっているんだ。君胤は週末に屋敷に帰らないし、俺は南方に出張があるから、一緒に来ないか」

「南方？」挽沅の目が輝いた。彼女が現代に転生してから、活動範囲はずっと帝都の中だけだった。『長歌行』の撮影は確かに南方でもあったが、撮影スケジュールが非常に厳しく、ずっとスタジオの中にいたため、外出する機会はほとんどなかった。

挽沅の目の中の輝きを見て、時陵の目にも笑みが浮かんだ。「荷物をまとめて、今から行こう」

「わかった」

挽沅は嬉しそうに立ち上がり、階段を上って必要なものを準備しに行った。

その頃、京都大院の門前では、小寶ちゃんが困惑した表情で目の前の四合院を見つめていた。

彼はただ車の中で少し眠っただけなのに、目が覚めたら曾祖父の家に来ていたなんて。

「林おじさん、どうして屋敷に送ってくれなかったの？」小寶ちゃんは大きな目を見開いて、不思議そうに林靖に尋ねた。

「今週末はお父さんとお母さんのお仕事がとても忙しくて、お父さんはあなたをちゃんと世話できないと心配していたんだ。それに、おじいさまはもう一週間もあなたに会っていなくて、とても会いたがっていたから、お父さんは私にあなたをここに連れてくるように言ったんだよ」

林靖はしゃがんで、小寶ちゃんの澄んだ大きな瞳を見つめながら、先ほど君時陵のために手配した武夷山行きの専用機のことを思い出し、急に良心が痛んだ。

「うん、パパとママ、すごく大変なんだね」小寶ちゃんは素直に頷いた。「林おじさん、バイバイ」

そして小寶ちゃんはピョンピョン跳びながら中に入り、おじいさんを探しに行った。