隣にいた友達は驚いて、「何してるの?どうしてそんなに大騒ぎするの?」と言った。
「早く、早く、ケーキを持っていてくれない?」小華ちゃんはケーキの箱を友達に渡すと、すぐにスマホを取り出して君時陵の写真を検索した。
「ああああああ!!見て!さっきの人は華国の大富豪!君時陵よ!」
「マジかよ、大富豪が自分でケーキを買いに来るなんて?!しかもケーキ?!世界が魔幻的だな。」
君時陵のような人物に出会うなんて、一生に一度あるかないかの出来事で、あまりにも不思議な経験だった。二人はすぐにこの出来事をSNSで友達全員に知らせ、画面を埋め尽くした。
そして同級生や友人たちに通知し、親戚一同にまで知らせた。
ウェイボーでも、小華ちゃんは投稿を更新した。フォロワーがまだ100人もいない彼女だったが、投稿内容に君時陵の名前を入れたためか、投稿してから1分も経たないうちに、閲覧数が1万を突破していた。
@華華愛花花:「ああああああああ!!!!なんてこと!!今日、友達とケーキ屋さんにいたら君時陵に会ったの!!!彼がおすすめのケーキを聞いてきたの!!私が一つ勧めたら、彼は買って帰ったわ。お礼に私たちのケーキ代まで払ってくれた!!!!天よ!!本当にかっこよかった!!生涯で見たことのないほどのイケメンだったわ!!」
添付された写真には、二つのケーキが並んでいた。
【本当???本物の君時陵だったの?】
【なんで信じられないんだろう?君時陵は毎日忙しいのに、自分でケーキを買いに行く時間があるの?助手に頼めばいいじゃない?】
【信じない+1、投稿者は君時陵の現場写真を出してよ、そんな話誰が信じるの。】
【注目を集めたいなら、もっとマシな方法があるでしょ。他の誰かだったら信じるけど、君時陵みたいな大物が自分で買い物に行くわけ?しかもケーキ?】
コメント欄は不信感で溢れていた。小華ちゃんは腹が立ったが、どうすることもできなかった。当時は君時陵の容姿と威厳に圧倒されていたし、最初は彼が君時陵だとは思っていなかったので、写真を撮る余裕がなかったのだ。
気づいた時には、時陵はもうどこかへ行ってしまっていた。