第194章 書畫協会に入る

「入って。」

夏挽沅はドアを押して入ると、君時陵はビデオ通話を終えて立ち上がった。

「忙しかった?」挽沅は小さなお皿を持って入ってきた。

「もう終わったよ。」

「小寶ちゃんにケーキを作ったんだけど、食べきれなかったみたい。食べてみる?」挽沅はそう言いながらケーキを時陵に差し出した。

「さっきあなたのドラマを見ていたよ」時陵はスプーンでケーキを一口すくって口に入れた。甘すぎず、爽やかな香りがした。普段甘いものは好まないが、挽沅の作ったこのケーキはなかなか美味しいと感じた。

「どうだった?」挽沅はまだ自分では見ていなかったが、唐茵から反応は良かったと聞いていた。

「演技は良かったよ」時陵は深い眼差しで、何かを示唆するように言った。「共演者の演技も悪くなかった。」

「秦塢のこと?彼は確かに演技が上手いし、人柄も良いわ。新世代の俳優の中ではかなり優秀な方だと思う」挽沅は時陵が秦塢について言及したのを聞いて、客観的な評価を述べた。

時陵はケーキを食べるスプーンを一瞬止め、口の中のケーキが急に味気なく感じられた。

挽沅の清楚な横顔を見つめながら、時陵は考えていた。挽沅はいつになったら気づくのだろうか?もう少し火をつけた方がいいのかもしれない。

部屋は一時沈黙に包まれた。

「明日、忙しい?」挽沅が突然振り向いて関係のない質問をした。時陵の深い目が自分を見つめているのに気づき、なぜか心が慌てた。

「特に予定はない」時陵は答えた。

もし君氏グループの幹部たちがこの言葉を聞いたら、きっと心の中で「はぁ?」と思うだろう。社長、あなたが直接出席しなければならない大小の会議を忘れたのですか?

「じゃあ、早めに帰ってきて」

「わかった」挽沅が早く帰ってくるよう言った理由はわからなかったが、時陵の心には何故か期待が芽生えていた。

——

久しぶりの休暇の日、挽沅はしばらくダンスの練習をした後、半日の休みを取り、ソファでくつろぎながら『長歌行』を見ていた。まだ半分も見ないうちに、張教授から電話がかかってきた。

「夏くん、良い知らせがあるよ。書畫協會があなたを会員として招きたいと考えているんだ。どうかな、入会する気はあるかい?」桃花図は多くの人に原晚夏という画技に優れた人物がいることを知らしめた。