第268章 夏挽沅の絵画

崔勇俊のことで皆が不快感を抱きながらも、どうすることもできない状況の中、書畫協會の誰かが突然、急に台頭してきた謎めいた原晚夏の絵には、多くの古典技法が使われているのではないかと提案した。

もしかしたら彼は、すでに失われたこれらの絵画技術を知っているかもしれない?

皆はようやく原晚夏という人物を思い出した。この人について、皆が不思議に思っていたのは、彼の絵の価値が急速に上がっていること、そして本人が非常に控えめだということだった。

今日まで、皆は彼の絵と原晚夏という名前以外、何も知らなかった。

そこで会長は張教授に連絡を取り、彼が原晚夏と連絡を取れるかどうか確認するしかなかった。彼らの年齢になると、虚名などどうでもよくなるが、寒國の書画界に頭上から罵られるという感覚は、やはり非常に悔しいものだった。

張教授の電話が庭園に入ってきたとき、夏挽沅はブランコに横になって本を読んでいた。張教授から事情の顛末を聞いた挽沅は、怒りが込み上げてきた。

「それではこの件はあなたにお願いしますよ、夏ちゃん。あの錯光法は、本当に長い間失われていて、あの崔勇俊がどこでその技術を学んだのか分からないんです」いつも穏やかな張教授も、崔勇俊のことを話すと、歯ぎしりするほど憎らしく思えた。

「大丈夫です、その技法なら私は知っています。ご安心ください、明日にはそれをお送りします」挽沅は最初、張教授がなぜ突然そんなに急いで彼女を探しているのか不思議に思っていたが、事情を聞いた後は、むしろ落ち着いた。

電話を切ると、挽沅はすぐにネットで崔勇俊の絵を検索した。いわゆる寒國の巨匠の絵を見て、挽沅の目には驚きの色が浮かんだ。

こんな絵でも有名になれるのか??

この絵は前世の彼女の師匠の目から見れば、火を起こすのに使っても竈を汚すと嫌がられるようなものだった。

多くの人を困らせている「錯光法」については、挽沅はとても簡単だと感じた。前世では、これは基本的な絵画技術に過ぎなかった。現代になってこの技術がこれほど持ち上げられているのは不思議だった。

張教授との約束を守るため、挽沅はすぐに王おじさんを探し、筆墨紙硯を準備してもらった。