第316章 姫の強烈な反撃

万人の口を満足させるのは難しい。『月のような霜』の制作チームが公開した宣伝写真は一部のファンを一時的に落ち着かせたが、それでも言賜と夏挽沅の共演は自分のレベルを下げ、人気を消費していると感じるファンもいた。

多くのファンは心の中で怒りを感じていたが、言賜は既に契約を結び、制作チームも公式発表をしていた。もはや覆せない事実に、皆は運命を受け入れ、おとなしく言賜の新ドラマの宣伝を手伝うしかなかった。

しかし、どんなファングループにも過激な人々は存在するものだ。トップアイドルである言賜の膨大なファン層の中には、極端な性格のファンが少なからずいた。

彼女たちの心の中で、言賜はずっと高級路線を行く演技派の男神であり、その男神が突然小規模制作のドラマに出演することは、彼女たちにとって受け入れられないことだった。

しかも、この共演相手の女優は以前、言賜に必死にくっついて回り、二人の噂がウェイボーで丸三日間もトレンド入りしていた。言賜のことを少し長く好きだった人なら、当時のこの一件を知っているはずだった。

これらの過激なファンたちは、もちろん自分の男神に怒りをぶつけることはせず、代わりに言賜と共演する夏挽沅が彼女たちの怒りの標的となった。

ウェイボーには芸能人のスケジュールをファンに売って金を稼ぐ人たちがいる。一部の過激なファンは夏挽沅の広告撮影スケジュールを入手し、彼女が映画スタジオでハイシーポテトチップスのCMを撮影していることを知ると、すぐに行動を起こした。

「よし、素晴らしい撮影だ。少し休憩しよう」

今日はハイシーポテトチップスの広告の最終撮影日で、夏挽沅の調子は良く、カメラマンと協力して基本的に全ての作業を完了していた。

「夏お嬢さん、先ほどファンの方々が来て、あなたにプレゼントを渡したいと言っていました。彼女たちが持ってきた水とお菓子です」

そう言ってスタッフが夏挽沅に水のボトルと袋を手渡した。

夏挽沅は前世で皇室に生まれ、父皇と母后は仲が良く、幼い頃から迫害を受けたことはなかったが、陰謀や様々な知識は学んでいた。

そのため、幼い頃から他人から与えられた飲食物を口にしない習慣があった。ファンたちからの贈り物に心は感謝しつつも、それを脇に置いた。