第325章 抑えきれない想い

あっという間に昼になり、夏挽沅は展示室の資料をほぼ全て読み終えていた。

展示室を出ると、衛子沐は直接夏挽沅を老夫人のところへ連れて行った。衛おばあさまは衛家の事業に関するいくつかの質問を選んで尋ねた。

子沐は挽沅が衛家の事業についてまったく知らないことを考慮して、彼女を助けようと思ったが、意外にも挽沅は質問に対して流暢に答えた。子沐は驚いて挽沅を見つめた。

「昼食を一緒にどうかしら?」夏挽沅の回答についての評価は、衛おばあさまは特に述べなかった。

華国全体における衛家の地位について、挽沅にはあまり概念がなかった。

他の人なら、衛家で食事ができるというだけで、長い間自慢できることだろう。

衛家の多すぎる規則を考えると、挽沅はその食事が美味しくないのではないかと思った。衛家の料理の味は確かに素晴らしいのだが。

「結構です。他に用事がありますので、食事は遠慮させていただきます」挽沅は断った。

「わかったわ、行きなさい」老夫人も怒ることなく、子沐に挽沅を送り出すよう指示した。

子沐が挽沅を玄関まで送ると、老夫人の側にいた使用人が突然大きな箱を持ってきた。

「夏お嬢さん、老夫人が別邸の料理がお好きだとおっしゃっていました。これは特別にお嬢さまのために作ったものです。お持ち帰りください」

「ありがとうございます」挽沅は手を伸ばして弁当箱を受け取り、子沐に手を振った。「さようなら」

「さようなら、挽沅妹妹。何かあったら私を頼ってね」子沐は優しく微笑んだ。

別邸と荘園は帝都の両極にあり、非常に離れていた。しかしこちらは君時陵の会社に近かった。

挽沅は少し考えてから、運転手に君氏グループへ向かうよう指示した。

——

時間はすでに12時を過ぎていた。会議室は重苦しい雰囲気に包まれ、君時陵を満足させる計画を作れなかった数人の会社幹部が、順番に君時陵の叱責を受けていた。

天よ、誰か私たちを救ってくれ。

全員の心の中で涙が流れていた。一体誰が君社長が優しくなったなどと言ったのか?!まだ生き閻魔様じゃないか!!

まるで皆の心の声が聞こえたかのように、林靖がドアを開けて入ってきて、君時陵の横で何か言葉を交わすと、君時陵の表情が目に見えて和らいだ。

「午後に再開する。解散」

この言葉を言うと、君時陵は大股で会議室を出て行った。