【最初は夏挽沅が《月宮の上》の脚本を気に入らなかったと言っていた人たちは、今どんな顔をしているのだろうか。】
【夏挽沅の演技はまあまあだと思う。私は《長歌行》を見たけど、個人的には良かったと思うよ。ネットで言われているほど酷くはなかった。】
【通りすがりだけど、夏挽沅は白怜よりずっと綺麗だと思う。】
【ふん、前の人たち、綺麗だからって何になるの?結局《月宮の上》に選ばれなかったじゃない。私たちの白怜はある人たちよりも人気があるのよ。】
【はっ、ある人たちは演技力もなければ能力もない、自分の容姿だけを褒めるしかないなんて、哀れじゃない?必死になって《月宮の上》に出演したかったのに選ばれず、今度は白さんに擦り寄ってくるの??格の違いも分からないの?夏挽沅は白怜の靴を持つ資格もないわ。】
実はこのインタビューは元々それほど注目されていなかったのだが、白怜のファンは争いを好むことで有名だった。
多くの一般視聴者は、白怜と夏挽沅の姿を見比べた後、挽沅の方がずっと綺麗だと感じ、そのような意見を投稿したことで白怜のファンの不興を買い、挽沅が白怜に便乗していると思われるようになった。
そのため、監督のこのインタビューは彼らにとって格好の反撃材料となり、「夏挽沅は監督自ら演技力不足と認定された」と至る所で宣伝し始めた。
元々こういった騒動に関心のなかった一般人たちも、徐々に挽沅が《月宮の上》に選ばれなかったという話を目にするようになった。
世論は元々簡単に方向転換するもので、《月宮の上》の監督は国内一流の監督だ。彼が挽沅の能力が足りないと言えば、人々の挽沅に対する印象に悪いレッテルが一つ加わることになる。
挽沅は出資すると言ったものの、ドラマの撮影を成功させるには彼女一人の力だけでは不可能だった。
言賜の参加により、多くの投資家が李恆との協力に意欲を示し、ほとんど最終段階まで話が進んでいたが、突然《月宮の上》の監督の発言を耳にした。
皆が躊躇し始めた。結局のところ、月宮の上側も投資を募っており、誰も損をしたくない。もし挽沅が本当に監督の言うように能力不足なら、彼らの投資は水の泡になってしまうのではないか?
一部の人々が撤退し始め、最初の一団が引けば、すぐに二番目の一団も後退し始める。既に軌道に乗っていた撮影は再び中断されることになった。