第349章 キング様

夏挽沅の言葉を聞いて、君時陵は顔を上げ、目に笑みを浮かべた。「今になって私が良いと思うようになったの?」

「いいえ」夏挽沅は正直に首を振った。「前からあなたは素敵だと思っていたわ。ただ、今はあなたが私の想像以上に素敵だと感じているだけ」

夏挽沅が言ったのは本当のことだった。実は彼女の多くの小さな習慣は、長年一緒に暮らしてきた弟や妹でさえ知らないものだった。

しかし君時陵とは二ヶ月余り一緒に暮らしただけなのに、彼は彼女のすべてを理解しているかのようだった。すべてのことを行き届いた配慮で手配するだけでなく、常に彼女を手のひらに乗せて大切にしていた。

彼女はかつて一国の姫として、万人の寵愛を受け、

また三軍の統帥として、千軍の抱擁を受け、

さらには長公主として、朝政を執り行い、天下の者が頭を垂れて臣下と称した。

しかし君時陵のこの思いやりと愛情は、やはり他の人とは違っていた。

挽沅は人を褒めることが少なく、また決して大げさに褒めることもない人だった。だからこそ、彼女の口から出る賞賛の言葉は、聞く者を特に嬉しくさせた。

時陵は優しく微笑み、挽沅の側に寄り添った。

今回、挽沅は彼を拒まなかった。二人は寄り添い、長く柔らかなキスを交わした。

「君も素晴らしいよ」時陵は半歩下がり、箸と茶碗を再び挽沅の手に戻した。「早く食べて、冷めてしまうよ」

「うん」挽沅はうなずき、やっと食事を続けた。

小寶ちゃんはようやく宿題を終え、保母さんに綺麗に洗ってもらい、とことこと部屋に入ってきた時、挽沅が時陵の腕の中で横になっているのを見た。

「パパ、またママを抱きしめてる!」小寶ちゃんはお風呂上がりで、顔は赤くて新鮮な小さなリンゴのようで、頭には一束の寝癖が立っていた。

「もう寝る時間だよ」時陵は小寶ちゃんの非難の視線を無視した。

「ふん!」小寶ちゃんはベッドの足元から這い上がり、挽沅の怪我した足を注意深く避けながら、挽沅と時陵の間に収まった。

時陵:................

挽沅は足に怪我をしていたため、時陵は小寶ちゃんに彼女と一緒に寝てほしくなかった。小寶ちゃんが夜中に寝返りを打って彼女の傷に当たったら良くないからだ。