第348章 君は本当に優しい 君もとても優しい

鄭雲は携帯を手に取り、しばらく眺めていた。見れば見るほど、画面の女性が美しく思えてきた。

「これはどこから手に入れたんだ？」

友人は鄭雲の表情を見て、彼が満足していることを察した。「芸能界で最近結構話題になってる新人女優だよ。誰かに紹介されて知ったんだけどさ、この前民国時代のドラマに出てたんだ。チャイナドレス姿がさ、もう本当に色っぽくてたまらないよ」

「わかった、これを何とかしてくれたら、お前の件は俺が引き受けるよ」

「ありがとうございます、鄭少年、一杯どうぞ」

「乾杯！！」

グラスが触れ合い、華やかな宴の光景が映し出された。

——

ネット上では夏挽沅のプロ意識の欠如に対する不満がさらに広がっていた。

唐茵と陳勻は状況を分析した結果、今は静観することに決めた。

どうせ挽沅は本当にプロ意識がないわけではなく、足に怪我をしているだけだ。彼女は正々堂々としているのだから、みんなが怒りを発散し終えてから真相を明らかにすれば、ネットユーザーたちはもっと理性的に受け止めるだろう。

君時陵は鄭家を出た後、直接庄園に戻るつもりだったが、すでに一週間以上会社に行っていなかった。林靖がずっと支えてくれていたとはいえ、君時陵自身が決断しなければならない重要な案件が多くあった。

時陵は庄園に連絡を入れてから会社へ向かった。到着するとすぐに、各部門の管理職たちがオフィスに集まってきた。

時陵が机の上の書類に全て署名し終え、顔を上げると、時計は8時を指していた。

時陵は表情を引き締めた。気づかないうちにこんなに遅くなっていた。挽沅が庄園に住むようになってからは、基本的に6時に退社して彼女と一緒に夕食を取るようにしていたのだ。時陵は急いで庄園に戻った。

「若様、奥様はまだ夕食を召し上がっていません」時陵が戻ってきたのを見て、王おじさんが迎えに出た。

「食事を寝室に運んでくれ」時陵は階段を上りながら、スーツを脱ぎ、ネクタイを緩めた。

ドアを開けると、挽沅がベッドに座ってテレビを見ていた。

「どうして食事をしていないんだ？」時陵は近づいて挽沅の額にキスしようとしたが、彼女に遮られた。

「あなたは食べたの？」挽沅が尋ねた。

時陵は少し戸惑った。「仕事が多くて、食べる時間がなかった」