君時陵?!
君時陵がまさかここに来るなんて??彼らにも君時陵に会えるチャンスがあるの?
これは会場にいるほとんどの人の心の中の考えだった。結局のところ、君氏グループは世界経済に非常に大きな影響力を持っているのだから。
会場にいる何人かは、ある噂を耳にしていた。君時陵があの夜、ハリケーン号に乗って帰還したこと、華国の情勢が目まぐるしく変化する中での各勢力の動き、それらは君時陵の背後にある背景を全く掴めないものにしていた。
元々非常に神秘的だった時陵が、さらに捉えどころのない存在になっていた。誰も思いもしなかった、まさかこの誕生日パーティーで君時陵に会えるなんて。彼はいつも引きこもりがちで、めったに姿を見せないのだから。
おそらく君時陵が指名した代表者だろう?皆は時陵が本当に来るとは少し信じられなかった。
しかし突然大門が開かれ、入口から西洋の正装をした極めて美しい男性が入ってきた。その圧倒的な威厳のある雰囲気だけで、君時陵を見たことがない人でさえ一目で分かった。これこそが名高い君氏グループの家長だと。
時陵はドアを入ると、まず大広間を一瞥し、夏挽沅の警告を含んだ視線と目が合った。時陵の唇の端がほとんど見えないほどわずかに上がり、それから足を踏み出して中に入った。
「君社長??!!」薄慶は時陵を見て、目を少し見開いた。彼が手がけたいと思っていた不動産プロジェクト、その土地はまさに君氏グループのものだった。今、時陵が直々に来たのを見て、急いで迎えに行った。
「本当に光栄です、君社長が薄家にお越しくださるとは」薄慶は近づいて、時陵と親しくなろうとしたが、時陵は彼に一瞥すら与えなかった。
「来たんだね?」隅に座っていた薄曉が突然立ち上がり、時陵に向かって手を振った。そして皆は時陵が隅のテーブルに向かって歩いていくのを目の当たりにした。
これはどういう状況だ?!
薄慶も呆然としていた。薄曉が海外に行って一週間後、彼は学校から退学通知を受け取った。薄曉が外で喧嘩騒ぎを起こしたという理由だった。
薄慶はもともとこの息子のことを気にかけておらず、退学しようがしまいが彼にとっては大した問題ではなかった。ただ戻ってきて騒ぎを起こさなければそれでよかった。
そのため薄慶は毎月薄曉のカードにお金を振り込み、条件は薄曉が大人しく海外にいることだけだった。