天は真理子の気持ちを理解しているかのようだった。星々は隠れ、夜は手を伸ばしても五指が見えないほど暗くなった。おじいさんは馬灯に火を灯して車の前に掛け、牛車は進み続けた。突然、大雨が降り出したが、おじいさんは準備していたようで、二枚のビニールシートを取り出し、一枚を真理子にかけ、もう一枚を自分の背に掛けた。これで祖父と孫は雨に濡れずに済んだ。
山の麓にいる数人の人々の状況は分からなかったが、国の役人なので、おそらく彼らの装備はもっと良いだろう。大きな傘や制式の雨合羽など、きっと持っているはずだ。
雨はますます激しくなり、真理子は眠れなくなって起き上がった。水牛は雨の中でかえって速く歩き、真理子が予想していたほどの時間はかからずに公道村に戻った。
おじいさんはまず真理子を家に送り届けた。おばあさんはまだ全く寝ていなかった。おじいさんが二、三回呼ぶと、すぐに大きな声で「はいはい!」と返事があった。
牛車から荷物を家に運び込むと、おじいさんはまた出かけた。家には牛小屋がないので、牛と牛車を佐藤書記の家の庭に返しに行かなければならなかった。約束通り、佐藤書記はおじいさんのために門を開けておくことになっていた。
おばあさんは竈でお湯を沸かして待っていて、真理子に早く水を汲んで体を洗うよう促した。そうすれば、おじいさんのためにもう一鍋お湯を沸かせるからと。
真理子は言った。「おばあさん、私たちが家にいない時は火を使わないって約束したでしょう!」
おばあさんは笑って答えた。「秋田おばさんが火をつけてくれたのよ。それにこれは薪を節約する竈だから、一度に二本の薪を入れて小さな鉄の扉を閉めれば、きれいで何の問題もないわ!」
「それでも気をつけた方がいいわ!」
「おばあさんは分かってるよ、早く洗っておいで!髪は濡れてないでしょう?夜中に髪を洗うのはよくないから、拭いて乾かすだけにして、まずはお風呂に入って寝なさい。明朝起きてから髪を洗えばいいわ。」
「はい。ビニールの雨具があったから、濡れてないわ。」
「それはよかった。」
おじいさんが戻ってきた時には、真理子はすでに体を洗い終え、おばあさんに部屋に戻って寝るよう言われていた。
おばあさんは子供が夜更かしするのは体に悪く、成長を妨げると言い、話があるなら明日起きてからにしようと言った。