おじいさんが真理子に約束していた鶏は先月の十六日に屠殺され、約束通り鶏の足と手羽は彼女のものになるはずだった。しかし、口に入るはずだった肉も飛んでいってしまった。その日、隣家の河合雪華が二人の妹を連れて川辺で洗濯をしていたとき、不注意で五歳の長女が川に転落してしまった。幸い近くにいた大人が助け上げたが、その子は泣き止まず、どう慰めても落ち着かなかった。おそらく驚いたのだろう、おじいさんとおばあさんは真理子に鶏の足を譲るよう言い、それを小さな女の子に持っていって驚きを和らげさせることにした。
真理子はもちろん子供と争うようなことはせず、素直に鶏スープと大小四本の鶏の足を持っていった。雪華の妹は鶏の足を見ると奇跡的に泣き止み、彼女の両親は感謝の言葉を述べ、秋田おばさんは真理子を大いに褒めた。
国慶節が過ぎると、天気は晴れ渡り、秋の太陽が高く照り、爽やかな日々が戻ってきた。生産隊は大豆とゴマの収穫を始め、隊員たちは畑で大豆とゴマの茎を引き抜き、束にして穀物倉庫の空き地に運び、数日間天日干しにした。種が自然に殻から飛び出すほど乾燥させた後、棒で茎や殻を強く叩き、完全に脱穀したと思われたら、茎や殻を取り除き、下に残ったのは金色に輝く大豆の山だった。
ゴマも同様の方法で処理されたが、別の山に積まれた。
晴れている間に一気に収穫して乾燥させ倉庫に入れる必要があった。脱穀していない茎や殻を動かすと多くの粒が落ちて無駄になるため、穀物倉庫の乾燥場に置いたまま太陽に当て露に晒した。夜は見張り役を置く必要があり、人と鼠の両方から守るためだ。関口隊長はこの仕事をおじいさんに任せ、昼間は家で半日休み、夜は豆の山の側で見張りをすることになった。おじいさんは昼間の空き時間を利用して、菜園の横にある豚小屋を掃除し、村で子豚を売っている家から黒い子豚を一対買って飼い始めた。
活発で可愛らしい黒い子豚が豚小屋を走り回る様子を見て、真理子も嬉しくなった。彼女はかごを持って豚の餌となる野菜を掘りに行けるし、ついでに野外を散策することもできる。