第89章 お小遣い

公道村から七、八里ほど離れた場所は、別の大隊の管轄地域で、鉄鉱山の社宅があり、近くには亜鉛鉱山、製紙工場、セメント工場もあった。そのため、公社は中学校の敷地をそこに設置した。鉱山地区には独自の福利厚生施設があったが、最近その一帯にもう一つの販売店が開設された。品揃えが非常に充実していて、ほぼ公社の供販社に匹敵するほどだという。鉱山地区の職員にも近隣の農民にも便利だった。

午前10時、河合おじさんは豆腐と青菜を鉱山地区の食堂に届けた。28大杠永久ブランドの自転車の後部座席に台を取り付け、豆腐を入れた木枠をしっかり縛り、さらに木の板で作った台を置いて、野菜かごを縛り付け、それから慎重に自転車に乗って出発した。

昼食時、おじいさんが外から帰ってきて、河合おばさんもやって来た。彼女は靴下の入った紙箱をおばあさんに渡し、さらに小さな札束も渡して、笑いながら報告した。「あなたの家の青菜は本当に素晴らしいわ。みずみずしくて柔らかくて、食堂の人たちは皆褒めていたわ。高値で買ってくれたの。1斤あたり1角6分で、合計52斤だから、8元3角5分になったわ。真理子の靴を買うのに3元5角使って、靴下1足に6角5分、残りは4元2角よ。ここにあるわ」

おばあさんは何度も河合おばさんに感謝し、真理子に新しい靴を試着させた。河合おじさんは男性なので、買い物をする時は壊れていないかどうかだけを見て、色などは考慮していなかった。真理子のために濃いグレーの伸縮性のある靴と、真っ赤なナイロン靴下を買ってきたのだ!

靴は悪くなかった。濃い色は汚れが目立たず、履き心地も良かった。しかし、その赤い靴下を見て、真理子の額には黒い線がいくつか浮かんだ。

おじいさんはようやく、自分が半日家を空けている間に、おばあさんと真理子が畑の野菜を抜いて売ってしまったことを知り、少し呆然とした。「午後に時間ができたら鉱山に靴を買いに行こうと思っていたのに。おばあさん、家にはお金が…どうして野菜を売ってしまったんだい?」

おばあさんは笑って言った。「真理子は毎日菜園に水をやっているし、野菜の成長も早くて良いものばかり。食べきれないほどだから、数元で売って、ついでに真理子に靴下を買ってあげたの。いいと思ったわ」