第123章 物語がある

おばあさんは真理子の手を軽く叩いた。「あのお医者さんはとても親切で穏やかな方で、何度も質問してくれたの。どんな薬を処方すべきか確かめるためだって。だからおばあさんは話すしかなかったのよ」

真理子は笑って言った。「話したのは構わないわ。お医者さんに話すのは問題ないの。ただ、私が調合した薬をあなたに飲ませていることを他の人に知られたくないだけ。おじいさんの心配はもっともよ。私はまだ医学書を読んで薬草を見分けることを学んでいる途中だから、むやみに人に薬を飲ませるわけにはいかないの。もし何か問題が起きたら大変だもの」

おじいさんは安心したように頷いた。「私の真理子は本当に分別があるね」

そう思いながら、また彼女の小さな頭を軽く叩いた。「でも、よくもそんな大胆におばあさんに薬を飲ませたね?少なくとも私に一言言うべきだったろう。母娘で私を心配死にさせる気か?全ておばあさんが甘やかしたせいだ!」

真理子はにこにこ笑いながら、肝臓を清め目を明るくする効果のある薬材をいくつかおじいさんに説明した。それは高橋氏醫書の他の処方に基づいて、自分の理解で薬材を組み合わせ、さらに引き薬を加え、煎じ方にもこだわりがあると、雲をつかむような説明を続けた。おじいさんは唖然としながら聞いていたが、真理子は気にせず、これで説明は済んだと思った。

おばあさんは袋を開け、真理子のために買ってきたものを一つずつ並べ始めた。服も二着買ってきて、一着は今着て、もう一着は新年の新しい服として取っておくようにと言った。真理子は服を体に当てて見た。さすが県庁所在地で買ったものは、黒田俊均がデパートで買ってくれた二着よりも可愛らしかった。

おばあさんは袋から真っ赤なリンゴと雪華梨を取り出し、笑顔で真理子に差し出した。「この前、玉田先生がリンゴと梨を何個か持ってきてくれたけど、あなたがそんなに好きなのも無理はないわ。この果物は香りが良くて甘くて、珍しいものよ。北の方でしか育たなくて、この辺りではめったに見ないの。おじいさんとおばあさんはわざわざ遠くまで行って、やっと果物を売っている店を見つけたの。リンゴを四つと梨を二つ買ったわ。全部あなたのよ、大事に少しずつ食べなさいね!」