第135章 大崎健太の救出

八月中旬、赤井さんが大隊本部から公道村に電話をかけ、小林柳萍に取り次いでもらった。今月から部隊は訓練を強化し、日曜日でも営内から自由に出られなくなったので、来られなくなったと伝えた。また、大崎健太が訓練中に仲間を救助して負傷し入院したので、真理子に日曜日に莞市に来てほしいとのことだった。

真理子は柳田平子から聞いて、目を丸くした。大崎健太が?人を救って?しかも怪我までした?想像もつかない!

おじいさんとおばあさんは心配していた。健太はいろいろと問題はあるが、お年寄りの気を引くのが上手で、自分も親のいない孤児だと言って、おじいさんとおばあさんの同情を買っていた。特におばあさんは、すぐに倉庫に行って密封保存されているゴマペースト、豆板醤、各種漬物の瓶を確認し始め、それからバスケットを持ってトマトを摘みに行き、おじいさんに満を探して、干し魚や干しエビをたくさん買ってくるよう頼んだ…これらは鎌太の好物だった!

真理子は呆れた。鎌太が好きなのは空間から出てきたものであって、こんな普通のものを彼に渡したら、きっと捨ててしまうだろう!

おじいさんは真理子に付き添って行き、ついでに薬草を売りに行くと言った。真理子は顔を曇らせた。また夜通し牛車に乗るの?やめてよ!

ところがおじいさんは佐藤承福に大隊本部へ行ってトラクターを頼むよう指示した。真理子はさらに顔を曇らせた。このトラクターに乗るの?埃だらけでガタガタ音を立てながら莞市まで揺られていったら、お尻が割れてしまいそうだし、埃まみれになって誰だか分からなくなってしまう。それなら牛車の方がましだ!

結局、牛車を使うことに決まった。どうせ真理子は休暇中だから、一晩寝ずに過ごしても問題ない。

今回は薬草がかなり多く、健太や赤井さんたちの営部に送る野菜や果物、漬物や調味料、それに健太がずっと食べたいと言っていた庭の梨の木の梨も加わって…二台の牛車に積み込まれ、承福も一緒に行くことになった。

柳田平子に大隊本部へ行って赤井さんに電話をかけてもらい、莞市の市街地入口まで迎えに来てほしいと伝えた。

赤井さんは本当に機転の利く兵士だった。彼は公道村の村一番の美人を見つけただけでなく、村の大隊本部に電話をかけることを知っていて、会わなくても村の美人と話せることを知っていた。真理子はそんなことを思いつきもしなかった。