第143章 田原さん

国慶節の休みで、土曜日と日曜日を合わせて二日半の休暇があり、真理子は関口愛子、佐藤玲子と一緒に公道村に帰った。

大崎健太は軍隊でも休暇があったが、莞市の市街地から出ることができず、手紙で真理子に莞市に来るよう頼んだ。真理子は返事で「また山ぶどうを摘む季節になったわ。今回は帰って多めに摘んでくるから、あなたがすぐに食べられなくても、ワインにして取っておくわ!」と書いた。

健太くんは山ぶどうワインの芳醇な甘さを思い出し、喜んで同意した。

そして真理子と友達たちは本当に休日を利用して山に大掛かりな収穫に出かけ、山ぶどう、いちじく、レモン、コメの団子、クルミ、栗を収穫して大量の戦利品を持ち帰った。

ぶどうワインの製造工程は簡単で、去年真理子がやるのを見てから、みんなが真似をするようになった。おじいさんはおばあさんもワインが好きなのを見て、とっくに自分で山ぶどうを摘んでワインを作りたいと思っていたが、真理子が本に書いてあると言うには「季節が合わないと、早く作りすぎると美味しくない」とのことで、おじいさんは彼女が帰ってくるのを待つしかなかった。

実はこれは真理子の言い訳で、彼女が手作りする山ぶどうワインには空間の山ぶどうが混ぜられており、普通のぶどうワインがどうして比べられるだろうか?

休暇の最終日、真理子と二人の友達がバスに乗って楽しく談笑しながら県立中学校に戻る時、彼女たちはすれ違った黒い乗用車に気づかなかった。その車は公道村に入り、村の入り口で停車した。

車の中にいたのは疲れた表情の田原青雲だった。彼は一人で県庁所在地から車を運転してきて、長距離移動で埃まみれになり、莞市の職場に戻らず、直接公道村に来ていた。

平田県には来たことがあったが、県の中心部だけで、この道を来るのは間違いないが、基本的にどの村も道路沿いにあり、どの村が公道大隊なのかわからなかった。彼は車を降りて何度も尋ね、ようやく本当に到着した。

道を尋ねられた人は、青雲が佐藤国松の家がどこにあるか聞くと、彼をじっと見て、とても丁寧に道を教え、顔には納得したような笑みを浮かべた。