第166章 雪花クリーム

大人たちの話を、真理子は聞こえないふりをした。彼女は自分を無理やり黙らせ、心の中で田原おじいさんとおばあさん、そして父に謝った。ある種のことは単刀直入に言うべきではなく、自分で確かめてから初めて真実が分かるものだ!

それに、真理子はどうしても知りたかった。田原青雲と吉田暁文はどんな心境で、どうして田原雅子を離れられないほど愛せるのに、自分という実の子を受け入れようとしないのか、一目見ようともしないのか!

彼らが産んだ子供なのに、そんなに恐ろしいものなのか?

真理子は自嘲気味に笑い、薬の瓶を手に取ると、おじいさんと田原お父さんに一つずつ配り、特に食事制限はなく、毎日決まった量を飲めばいいと説明した。どちらも体調を整えるためのもので、おじいさんには目に見えない病気があり、田原お父さんのは純粋に体質強化、筋骨を丈夫にし、元気を養うためのものだった。

おばあさんの薬丸は、一ヶ月分の薬湯を飲み終えてから、新しく作って送ると言った。空間の薬材は外界に長く置いておくと霊気が散ってしまい、薬効が落ちてしまうからだ。

真理子はおばあさんに二つの磁器の瓶も渡した。中には透き通るような雪白のクリーム状のものが入っていた。真理子は笑いながら言った。「おばあさん、後半の薬湯には美容成分も入っていますよ。ちゃんと飲めば、きれいなおばあさんになりますよ。これは私の手作りの『雪華クリーム』です。顔と手のケア用で、使えばわかりますが、肌がとても心地よくなります。おばあさん専用の幽蘭の香りをつけました。」

田原おばあさんは二つの磁器の瓶を手に取り、嬉しくもあり悲しくもあり、泣くべきか笑うべきか分からない様子だった。孫娘を抱きしめようとしたが、田原青山に引っ張られ、「雪華クリーム」を一瓶よこせと要求された。

田原おじいさんまでもが寄ってきた。「真理子、見てごらん、東京の冬は風が強くて、気候も乾燥しているから、おじいさんの肌も良くないんだよ。」

真理子は顔を上げて彼らを見た。「あなたたちは男性なのに……」

田原青山は言った。「男がこれを使っちゃいけないなんて誰が言ったんだ?お前の部屋の化粧台にある『雅霜クリーム』は私がずっと使っているものだ。良いと思ったから谷本さんにお前にも一瓶買わせたんだぞ。」