第200章 五月の日々_3

「これはほんの小さな罰に過ぎないわ。真理子の受けた苦しみに比べれば何でもないわ!もし誠一が電話で正直に報告してくれなかったら、また彼らに騙されるところだったわ!こうして一度また一度と隠し事をされるのは、もう十分よ。田原家にこんな嫁が来たことに腹を立てないのは、私が産んだ子じゃないからだけど、青雲は私の実の子で、夫婦で一番可愛がっていたのに、それなのに...本当に、また病気が再発しそうだわ!」

「わかった、わかった、もう恨まないし怒らないようにしよう!南部へ行って気分転換したいなら、それもいい。手配しておくよ」

「あまり多くの人を連れて行きたくないわ」

「多くないよ、四、五人だけだ」

「多すぎるわ」

「じゃあ二人だけ。谷本さんは必ず同行だ。それ以下なら行かないでくれ!」

「...」

老夫婦が居間で二鉢の蘭の花を前にひそひそと話している時、庭から車のクラクションが鳴り、一人のスタッフが入ってきて報告した。「田原お兄さんがお戻りになりました。黒田家の長老と黒田おばさま、それに黒田三郎兄さんもいらっしゃいました」

田原おじいさんと田原おばあさんは急いで立ち上がり、出迎えに行った。谷本さんともう一人のスタッフは静かに二鉢の蘭の花を運び出し、テーブルをきれいに拭いて、お茶の準備を始めた。

田原青山は両親と会うと、簡単な挨拶を交わした後、まず荷物を二階に運び、一行は家に入った。黒田家の長老と田原おじいさんは歩きながら話し、笑い声が響いた。黒田啓凡は急ぎの用事があるように見せかけながらも、なぜか帰ろうとせず、田原おばあさんの腕を取って小声で頼んだ。「おばさま、この前欽也にあげたドライフルーツと砂糖漬け、私にも少し分けてもらえませんか?それと先週食べた蒸し魚のすり身、まだありますか?ほんの少しでいいので、少しだけ...」

黒田お婆様はそれを聞いて、彼の背中を一発叩いた。「今日はどうしてこんなに親切に私たちを送ってきたのかと思えば、別の目的があったのね!あなたはまだ子供なの?砂糖漬けやドライフルーツが欲しいなんて。魚のすり身は私たちの家にないとでも思ってるの?あなたの二番目の兄と義姉が大阪から大きな包みを持ってきたばかりよ。食べたいだけ自分で取りなさい!」