第217章 心変わりした

田原青山は言った。「お父さん、忘れましたか?月美と私は幼馴染で、いつも一緒にいましたが、彼女は大崎勇輝と一目惚れして、勇輝のために天涯を駆け巡り、命さえも捧げる覚悟でした!」

「うちの真理子は月美とは違う、その程度の目は持っているよ!」

「でも私は真理子に自由を与えたいんです。彼女が自分のペースで成長し、ゆっくりと選び、本当に好きな男性を見つけられるようにしたい。長老の意向に従って、押し付けられた相手を受け入れるようなことはさせたくないんです!」

「青山、私は祖父だ、真理子を愛していないと思うのか?東京中の若者を見渡しても、均が最高だ。彼は真理子にふさわしい!」

「均が優秀なことは知っていますし、認めています。でも父上は考えたことがありますか?均はもともと花菜と婚約していて、うまくいっていたはずです。なぜ今になって突然婚約解消を求めるのでしょう?彼は戦場から戻り、功績を立て、国から褒賞を受け、民衆から愛され、家名を輝かせました。この時点で婚約破棄を申し出れば、長老たちから責められることもないでしょう。しかし田原家の娘を娶るのは容易なことではないのに、彼はそれを放棄する選択をしました。なぜでしょう?ただ一つの可能性があります:彼の心に別の娘がいるのです!そんな彼が、あなたのお孫さんにふさわしいでしょうか?父上、無理に結びつけた縁は、私は認めません。うちの真理子は、素晴らしい愛を受ける価値があります。彼女を娶る男性は、全身全霊で愛さなければなりません!」

「それは...均が一体なぜ婚約解消を望んだのか?黒田おじさまはあの日時間がなくて聞けなかったと言っていたが、後日聞くつもりだったはず。聞いたかどうかわからないな。」田原おじいさんは目をパチクリさせ、立ち上がって電話に向かった。「いけない、すぐに確認しなければ!もし君の言う通り、あの小僧の心に別の娘がいるなら...もちろん我が真理子を犠牲にするわけにはいかん!」

黒田邸では、黒田家の長老が田原おじいさんと話を終え、厳しい表情で受話器を置くと、すぐにまた別の番号をダイヤルした。交換手が何度か接続し、黒田啓明の声が聞こえてきた。「お父さん、こんな遅くにまだ休まれていないのですか?お体を大事にしてください!」

黒田の長老は「うむ」と返事をし、尋ねた。「均のやつ、この頃お前に電話をしてきたか?」