第272章 心心相印

黒田邸に灯りがともり始めるまで滞在し、夕食を済ませてから、田原家の一家が帰っていった。彼らが去ると、黒田家の人員もほぼ半分いなくなった。孫世代では黒田玲子だけが家に残って従姉妹の山田絹子の相手をすることになり、残りは全員黒田おじいさんと黒田おばあさんについて田原邸へ行き、そこでしばらく遊んでから夜食を食べてから帰ってくる予定だった。

夜食はおばあさんと真理子が作ることになっていて、完全な南部の特色があり、みんなを引き付けていた。黒田おじさんは産後の母子に付き添わなければならなかったが、食べ物に目がなく、何度も欽也に両親のために持ち帰るよう念を押した。黒田二叔父と叔母は珍しく家で年を越すことになり、外出したくなかった。黒田おじさんは一緒に行けたが、自分が田原家に行くと息子の邪魔になるのではないかと心配していた。今は何よりも小さな嫁を取り戻すことが重要だったのだ!そう考えると、おじさんは安心して家に留まることにした。

田原邸は賑やかになり、田原青山が用意した花火は男の子たちが遊ぶのに十分だった。庭は花火で輝き、長く続く華やかな光景に、多くの大人や子供たちが鉄柵の外に立ち止まって見物し、歓声を上げていた。

おばあさんは大きな鍋で油茶を作り、それに合わせた各種の小さなおかずやお菓子は30〜40種類もあり、色とりどりの皿や鉢が長いテーブルに所狭しと並べられていた。南部の食べ物は北部のものとは大きく異なり、真理子はわざと異空間に保存しておいたものを、まるで冷蔵庫から取り出したかのように出してきた。新鮮さだけでなく、その美味しさと甘さは人々の食欲をそそり、基本的に誰もが好きな味だった。みんなは長いテーブルを囲んで回り、ビュッフェのように一つ一つ試食し、皆が嬉しそうに笑顔を浮かべていた。

夜食を食べ終えると、一部の人々は錦一について二階の書斎へ新しい歌を聴きに行き、均と真理子も階段を上がり、誰にも気づかれないうちに二人で真理子の部屋に滑り込んだ。