旧正月二日目、親戚や友人の間で田中家が新年会を開き、おじいさんとおばあさんを正式に招待した。田原おじいさん、田原おばあさんが真理子と誠一を連れて出席し、黒田家からは黒田おじいさんと黒田おばあさん、そして玲子と欽也が来ていた。均と鎌太、錦一は昨夜から田原邸に泊まっていた。十時になり、真理子たちが訪問の準備を整えると、均も一緒に出かけたが、彼は東京ホテルの方へ車を走らせた。
彼は真理子と約束していた。東京ホテルには最大でも30分だけ滞在し、その後場所を移して数人の友人と会って昼食を取り、午後2時に田中家の門前で真理子を待つ。もしおじいさんとおばあさんも一緒に帰るなら、二人の老人を連れてあちこち散策し、老人たちが来ないなら、二人だけで遊びに行くつもりだった。
真理子は均に手を振り、彼の車が去っていくのを見送った。田中家はそれほど遠くなく、彼女はおじいさんやおばあさんたちと数百メートル歩くだけで到着した。
均が東京ホテルのロビーに入ると、11時まであと20分もあるのに、吉田暁文と田原雅子がすでに待っていた。
雅子は一目で均を見つけ、驚きと喜びの声を上げ、立ち上がって走り出そうとした。暁文は急いで彼女を引き止めた。「よく見て間違えないで。均さんはとても時間に正確だから、早く来るなんてことはないわ」
「彼よ!間違いないわ!私たち久しぶりなんだから、彼が早めに来ても不思議じゃないわ!」雅子は興奮のあまり声が震えていた。
彼女がどうして人違いするだろうか?7歳の頃から均兄さんを知っていて、様々な服装で異なる場面に現れる彼の姿を見てきた。どんな姿でも美しく輝かしい彼女の均兄さんは、人混みの中でも一目で見分けられる。ましてやホテルのロビーにいる少数の暇人の中なら尚更だ。
雅子は暁文の手を振り払い、鳥のように目標に向かって飛んでいった!
暁文はようやく均の位置を確認し、思わず笑った。彼は上着を変えて、まるで別人のようになっていたが、花菜がこんなに早く彼を見分けたのは、彼女が本当に均を大切に思っている証拠だった。