第277章 また始まるのか

口論の最中、電話が鳴った。田原青山からだった。彼は淡々とした口調で言った。「今日の昼に均の送別会があって、家族全員が黒田家に行ってきたんだ。つい先ほど帰ってきたから、夕食の準備が遅れている。今から食事をするところだけど、父さんが明後日にはG県に帰るだろうから、何か相談があるかもしれないと言っている。帰ってきて食べるか?来るなら急いでくれ」

青雲は少し間を置いて、「わかった」と答え、電話を切ると吉田暁文に何も言わずに、ドアを開けて一人で出て行った。

暁文は心の中で田原家での夕食など食べたくないと思っていたが、青雲が彼女を呼びもせず、こんなにもあっさりと出て行くとは思わなかった。ソファに座ったまま呆然としていたが、やがて両手で顔を覆い、声を上げて泣き始めた。

田原雅子は自分の部屋から出てきて、すすり泣く母親を優しく抱きしめた。この時、彼女も何をすればいいのか分からなかった。お母さんにお父さんと喧嘩しないように諭すべきだろうか?でも、お父さんは明らかに田原一家の影響を受けて、気性がどんどん荒くなり、もう母娘のことを大切にしてくれなくなっていた。そして今日会った白川おじさんはとても優しく親切で、自分のことをいろいろと気にかけてくれて、彼の方が青雲よりもお父さんらしく感じられた!

白川おじさんがお母さんと相談していたことを思い出し、雅子の心は高鳴った。白川おじさんは自分のために環境も教育の質も良い有名高校を紹介してくれると言っていた。G県に戻る必要はなく、東京で勉強して、2年後に大学に進学し、さらに留学することもできるという!

白川おじさんは青雲よりも力があるように見えた。少なくとも、彼の背後には田原おじいさんや田原おばあさんのような古い考えの人たちがいなかった。彼は気前よく自由に振る舞い、やりたいことは何でもできる立場にあり、誰にも支配されていなかった。お母さんが彼と良い関係を築けば、彼は自分の面倒を見てくれるだろう。彼の庇護のもとでは、田原家がなくても自分は高貴な身分でいられる。大人になれば、均兄さんもはっきりと分かるはずだ。誰が本当に彼にふさわしい人間なのかを!