第277章 また始まるのか_2

実は谷村柳子も電話に出たくなかった。俊帆お兄さんは海外にいて、むやみに家に電話をかけてくることはないと言っていたし、この世で彼女には俊帆お兄さんしかいなかった。他の人からの電話は彼女には全く関係ないものだった。でも、応接間には他に誰もいなかったので、彼女は仕方なく手を伸ばして受話器を取った。

しかし、思いもよらず、あの女性の声が聞こえてきたのだ！

どんなに声が変わっても、彼女にはすぐにわかる声だった！

それは田原雅子の母親だった。前世でも彼女はよく白石家に電話をかけてきて、いつも柳子が電話に出ていた。彼女は二叔父さんや白石晴美を呼び出し、いつも30分近くも話し込んでいた。その後、雅子が俊帆お兄さんと結婚すると、あの高慢で傲慢な女性は何でも知り得る力を持っていて、柳子の存在を知ると、直接会いに来て、厳しく叱りつけた。あの意地悪で冷酷な言葉、鋭く軽蔑に満ちた視線は、今思い出しても柳子に耐え難い屈辱と恨みを感じさせるものだった！

人生をやり直して、あの女性がまた始めようとしているのか？今度はどの娘を俊帆お兄さんに押し付けようとしているのだろう？

柳子はテレビで黒田家の黒田俊均が元気に壇上に立っているのを見て、怪我も障害もなかったことに内心ほっとしていた。今世では雅子が俊帆お兄さんに執着することはないだろうと思っていたのに、年末前に白石家中に田原家の嫡女が取り違えられたという噂が広まった。柳子は密かに驚いた：前世ではこんな話は聞いたことがなかった！

田原家にもう一人娘ができたということは、一人は黒田俊均に嫁ぎ、もう一人は？田原雅子の母親が白川二叔父さんに電話をかけ、次に晴美が彼女に会いに行き、三人で相談した後、いつも晴美の言うことを聞く俊帆お兄さんは、これからずっと雅子に縛られることになるのだ！

柳子は唇を噛みしめ、伏せた瞳から冷たい光が放たれた：神様が私に人生をやり直させたのは何のため？それは俊帆お兄さんが私のものだからだ。私たちは結婚したのだ、彼は私のものでしかない！今世では誰も彼を奪うことはできない！

「やれやれ、柳子、どうしたの？顔が真っ青よ、どこか具合でも悪いの？」

白石晴美が外から入ってきた。機嫌が良さそうで、柳子がふさぎ込んで立ち尽くしているのを見て、笑いながら何気なく尋ねた。